top of page

補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告の概要~「会計・監査ジャーナル」2025年12月号~

1月6日
読了時間: 5分

「会計・監査ジャーナル」2025年12月号の解説「会計制度委員会研究報告第18号  補助金等の会計処理及び開示に関する研究報告の概要」(西田裕志)を読んでみました。

 

検討の経緯

  • 日本公認会計士協会が2025年6月26日付で公表

  • 昨今の激しい経済環境の変化に合わせて、様々な補助金および助成金(以下「補助金等」)が国または地方公共団体(これらに準ずるものを含む。以下「国等」)から交付される事例が数多くみられるが、我が国においては補助金等に関する会計基準が存在しておらず、様々な実務が行われていると想定される

  • 国際的な会計基準における取り扱いを参考にしつつ、これまでのJICPAにおける調査・研究の結果及びこれを踏まえた現時点における考えを取りまとめたもの

 

研究報告における補助金等の範囲

  • 国等から交付される補助金等のうち反対給付のない収益(非交換取引収益)に該当する補助金等を検討の対象としている

  • こうした補助金等の中には、補助金等の交付に付帯条件(補助金等の交付について付された条件を言う。以下同じ)が付されており、当該付帯条件が満たされなければ補助金等が支給されない、または返還が求められるものもあるが、当該付帯条件にも注目して検討している

 

収益に関する補助金等(資産に関する補助金等以外の補助金等)

  • 補助金等の交付額決定通知の受領時や付帯条件を満たした時点等、具体的にどの時点で企業が計上すべきかについて、個々の補助金等の内容を踏まえて、事実と状況に応じて判断することになるとの考え方を示している(研究報告Ⅱ.2.(1)④)

(損益計算書上での表示)

  • 原則として、事業対象にかかる費用と補助金等を純額処理することなく、営業外収益に計上することになると考えられるとされている

  • 純額処理する場合は、相殺表示している旨、相殺された金額を追加情報として開示することが考えられるとされている(研究報告Ⅱ.2.(2))

(キャッシュ・フロー計算書上での表示)

  • 営業外収益に計上した収益に関する補助金等にかかる収入は投資活動及び財務活動以外の取引によるキャッシュ・フローに該当すると考えられる

  • 営業活動によるキャッシュ・フローの小計欄に含めるべきか否かについては、審理の過程でいずれの意見も聞かれたことから、研究報告では、いずれの方法を採用するかは、キャッシュ・フロー計算書の表示の明瞭性、財務諸表利用者がキャッシュ・フローの状況を把握するにあたっての有用性等を勘案して判断するものと考えられるとされている(研究報告Ⅱ.3.(3))

(注記)

  • 研究報告では、収益に関する補助金等の会計処理は会計事象等に関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に該当すると考えられることから、重要性がある場合には重要な会計方針として具体的な収益の認識時点を開示することが考えられるとしている(研究報告Ⅱ.3.(2))

 

資産に関する補助金等(圧縮記帳に関する会計処理等を除く。)

  • 研究報告では、現状の制度会計上は、一時点で利益を計上する方法または一定期間にわたり利益を計上する方法(仮受金アプローチ)に基づき補助金等を会計処理することになると考えられるとされている(研究報告Ⅲ.2.(3))

  • 時点については、上述の収益に関する補助金等と同様の考え方が示されている(研究報告Ⅲ.2.(3))

(損益計算書上での表示)

  • 臨時性があると判断される場合には特別利益に計上し、金額が僅少の場合または経常的に発生する場合には企業会計原則注解(注12)により営業外収益として計上することが考えられるとされている(研究報告Ⅲ.2.(4))

(注記)

  • 上述の収益に関する補助金等と同様の考え方が示されている(研究報告Ⅲ.2.(5))

 

圧縮記帳に関する会計処理等

  • 各企業の圧縮記帳に関する会計処理として直接減額方式を適用するか、直接減額を採用しない方式を適用するかの判断の違いにより、財務数値に及ぼす影響が異なり、企業間比較可能性が低下するという課題が生じるとされている(研究報告Ⅳ.3.(1))

(損益計算書上での表示)

  • 直接減額方式を採用する場合には、国庫補助金の受贈益と圧縮損の表示について、現行実務上、損益の総額表示及び純額表示の両方が認められているものと考えられるとしている(研究報告Ⅳ.3.(3)①)

(キャッシュ・フロー計算書上での表示)

  • 研究報告では、補助金の受取額と固定資産圧縮損について、損益計算書上総額で表示している場合には、キャッシュ・フロー計算上も総額表示をすると考えられるが、損益計算書上純額表示している場合には、整合性の観点から、キャッシュ・フロー計算書上も純額表示することも考えられ、今後整理が必要になると考えられるとしている(研究報告Ⅳ.3.(3)②ア)

  • 表示区分については、例えば、受領した補助金等が全て資産の取得のために使用されるなど、投資活動によるキャッシュ・フローの性格を強く有する取引は投資活動によるキャッシュ・フローで表示し、投資活動によるキャッシュ・フローの性格を強く有しない取引については営業活動によるキャッシュ・フローで表示しているものと考えられるとしている(研究報告Ⅳ.3.(3)②イ)

 

感想

監査法人に所属していた頃は、クライアント企業が補助金を受領しているケースはあまり目にしたことがありませんでしたが、独立して様々なタイプ・規模の企業と関与していく中で、多くの企業が様々な補助金を受領していることを知りました。

そういった意味では、小規模な監査事務所や個人開業している会計士にとって、一つの参考になる研究報告であるような気がします。

 

最新記事

すべて表示

コメント


記事: Blog2_Post

©2020 by 佐藤篤公認会計士事務所。Wix.com で作成されました。

bottom of page