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パーシャルスピンオフにかかる会計処理~「会計・監査ジャーナル」2025年3月号~

  • 佐藤篤
  • 3月21日
  • 読了時間: 3分

毎年「会計・監査ジャーナル」3月号の特集は「今3月決算の実務ポイント」が恒例になっています。

日本基準がコンバージェンスにまい進していた頃は当該特集の内容も重量級でしたが、それも落ち着いて、近年では適用対象が限定される基準等が多くなっている気がします。

 

2025年3月号の当該特集の会計編には、まさにそれに該当しそうな内容で、『改正企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」等~パーシャルスピンオフにかかる会計処理の解説~』(宮崎徹)が掲載されていました。

2024年3月期からすでに適用開始されているのですが、個人的に見落としていたこともあり、読んでみることにしました。


 

改正(2024年3月22日)された適用指針等

  • 企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」(以下「自己株式等会計適用指針」)

  • 会計制度委員会報告第7号(移管指針第4号)「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下「資本連結実務指針」)

  • 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」)

  • 上記は改正後直ちに適用されている


 

パーシャルスピンオフ税制

(対象)

完全子会社株式について一部の持分を残す株式分配のうち、当該一部の持分が当該完全子会社の株式の発行済み株式総数の20%未満となる株式分配

(内容)

現物分配の実施会社における譲渡損益課税の繰延や現物分配を受ける株主におけるみなし配当に対する課税が対象外とされる特例措置

 


パーシャルスピンオフ実施会社の個別財務諸表上の会計処理

  • 「保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社株式に該当しなくなった場合」には、配当の効力発生日における配当財産の適正な帳簿価額をもって、その他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額する取扱いの対象として追加された(自己株式等会計適用指針第10項(2-2))

  • パーシャルスピンオフに係る損益は計上されない。

  • パーシャルスピンオフ税制において税制適格となるかどうかにはかかわらない。


 

パーシャルスピンオフ実施会社の連結財務諸表上の会計処理

  • 配当前の投資の修正額と当該修正額のうち配当後の残存株式に対応する部分との差額(すなわち、投資の修正額のうち、配当により減少した持分割合部分)の処理

(原則的取扱)

連結株主資本変動計算書上、「利益剰余金」と「その他の包括利益累計額」の区分に、子会社株式に配当に伴う増減等を計上する

(例外的取扱)

連結株主資本変動計算書上、個別財務諸表の取得価額に含まれている付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分について、「その他資本剰余金」又は「その他利益剰余金」(繰越利益剰余金)の金額を修正する


  • 残存する当該被投資会社に対する投資の処理

(関連会社になった場合)

親会社の個別貸借対照表に計上している関連会社株式の帳簿価額に対して、投資の修正額のうち配当後持分額を加減(持分法による投資評価額に修正)

(子会社及び関連会社のいずれにも該当しなくなった場合)

個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価するため、配当後の投資の修正額を取り崩す。連結株主資本変動計算書上、「利益剰余金」と「その他の包括利益累計額」の区分に、連結除外に伴う増減等を計上する。


 

パーシャルスピンオフ実施会社の税効果

  • 連結決算手続の結果として生じる一時差異については、連結財務諸表固有の将来減算一時差異又は将来加算一次差異に準ずるものとして定義に追加することにより、税効果会計の適用対象となっている(税効果適用指針第4項(5))

 

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