持分法の理論的背景~「会計・監査ジャーナル」2022年12月号~
- 佐藤篤
- 2022年11月18日
- 読了時間: 3分
「会計・監査ジャーナル」2022年12月号のアカデミック・フォーサイトは「持分法会計の再検討」(山地範明)(以下「当該記事」)でした。
連結会計の理論的背景については、会計士試験の時や制度改正の際に多少学ぶ機会はあったのですが、持分法会計についてはそういった事もなく、これは面白そうと思い、読んでみました。
以下、当該記事の一部のメモ書きです。
持分法の考え方2つ
持分法を一行連結と考えるのか、あるいは測定基礎(投資の一評価方法)と考えるのかで会計処理が異なる。
持分法の会計処理単位&投資先に対する投資が減損している場合
一行連結:投資先の個々の資産及び負債が会計処理単位→投資先の個々の資産について減損テストが行われる。
測定基礎:投資先に対する投資が会計処理単位→投資先に対する投資について減損テストが行われる。
投資と資本の差額
一行連結:のれんまたは負ののれんとして認識される。
測定基礎:連結手続と同様に行う必要はないので、のれんおよび負ののれんは認識されない。
投資者と投資先との取引から生じる実現損益の消去
一行連結:内部取引と考えられ消去される。
測定基礎:第三者との取引と考えられ消去されない。
投資先の債務超過額の負担の範囲
一行連結:投資者が全額負担。
測定基礎:投資者負担は投資額の範囲内
投資先に対する持分の取得(投資の状態に変化を伴わない場合)
一行連結:取得関連費用は費用として処理。追加的な投資はのれんを認識する。
測定基礎:取得関連費用は取得原価に含める。追加的な投資はのれんを認識しない。
その他の純資産変動に対する持分
一行連結:投資額に反映する。
測定基礎:認識しない。
IFRSが一行連結と測定基礎のどちらを採用しているか
持分法の会計処理単位
測定基礎:投資先に対する投資
投資と資本の差額
一行連結:のれんまたは負ののれんとして認識される。
投資者と投資先との取引から生じる実現損益の消去
一行連結:内部取引と考えられ消去される。ただし、当事者の持分の範囲でのみ。
投資先の債務超過額の負担の範囲
測定基礎:投資者負担は投資額の範囲内
投資先に対する持分の取得(投資の状態に変化を伴わない場合)
測定基礎:取得関連費用は取得原価に含める。のれん認識の要否についてはIAS28に明確な規定がない。
その他の純資産変動に対する持分
一行連結:投資額に反映する。
当該記事の結論
投資先への関与の程度が高いほど、一行連結としての持分法の会計処理が合理的。逆に投資先への関与の程度が低いほど、測定基礎としての持分法の会計処理が合理的となる。
感想
持分法会計の考え方として一行連結には馴染みがあったものの、測定基礎という考え方があるということ自体知りませんでした。
そして現行のJGAAPもIFRSも両者の混合になっているということも初めて知りました。
連結会計に染まった(?)頭には一行連結の方が理論的に感じられますが、「当該記事の結論」に記載の通り、投資先への関与度合いによって合理性が変わるというのも納得でした。
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