流動資産比率の意味、自然対数を用いる理由~「会計・監査ジャーナル」2025年7月号~
- 佐藤篤
- 8月5日
- 読了時間: 2分
「会計・監査ジャーナル」2025年7月号に掲載されている連載「実証監査研究入門」の第3回「監査報酬研究の日本企業への応用」(高田知実)を読んでおりました。
当該連載は、個人的に毎回何らかの気付きがあるのですが、今回もいくつかありましたので、その内の2つに触れたいと思います。
独立変数としての流動資産比率
Francis(1984)では、監査報酬を従属変数とした重回帰分析において、独立変数の一つとして流動資産比率=流動資産/総資産を設定しています。
私はその意味を、他の独立変数として当座比率も設定されていたので違和感はあったのですが、財務的安全性の指標の一つとして採用したのだと思っていました。
ところが実際は、棚卸資産や売上債権等の重要な虚偽表示リスクが相対的に高い勘定科目の割合を捉える変数として設定されているとのことです。
どうやら私は壮大に勘違いしていたようで、この部分を読んで何だか恥ずかしい気分になりました。
一方で文末脚注に以下のような記載がありました。
この変数(注;流動資産比率)について、Simunic(1980)では、総資産に占める売上債権と棚卸資産の割合として定義されており、(中略)他の先行研究でも、Simunic(1980)と同じ測定方法が採用されていることが多い。
何となく、こちらのほうがしっくりきます。
特に日本のように現預金を貯め込んでいる企業が多い場合、流動資産比率は、その目的適合性の観点から、不十分な気がしました。
常用対数ではなく自然対数を採用する理由
この点は以前弊ブログで取り上げたのですが、今回詳しく説明されていました。
以下、引用です。
従属変数に自然対数を用いると、(中略)推定値が弾力性を(近似的に)捉えるため、独立変数が従属変数に及ぼす実質的な影響(経済的有意性)の解釈が容易になるという利点がある。
「そうなのかあ」と感心する一方、どうしてそうなるのか理屈が全くわかりません。
この辺りを理解できるようになるといろいろ捗りそうなので、対数について勉強し直した方がよさそうだな、と感じました。
それがいつになるのか、わかりませんが(笑)
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