会計研究と対数の底~「会計・監査ジャーナル」2025年5月号~
- 佐藤篤
- 6月10日
- 読了時間: 2分
「会計・監査ジャーナル」2025年5月号から高田知実先生の連載「実証監査研究入門」が始まりました。
前々回のエントリーで会計雑誌「企業会計」に掲載されていた高田先生の論考を取り上げましたが、そこで「会計監査従事者は、高田先生の論考には目を通すべき」と自ら主張した以上、「会計・監査ジャーナル」上での新連載をパスする理由はなく、早速読んでおりました。
その連載第1回の中で、監査報酬と総資産の関係が2つ図表にされていました。
1つは金額百万円単位の図、もう一つは対数変換後百万円単位の図です。
対数変換図表自体はコロナ・パンデミック時の解説等でもよく目にしていたのでまずまず馴染みがあり、今回の監査報酬と総資産の関係図でも、対数変換した図の方がキレイな右肩上がりになっています。
ただ、そこでふと疑問に思ったのは、「底」の選択です。
今回の高田先生の対数変換ではネイピア数eを底としていて、会計領域では自然対数を取ることが多い旨が明記されているのですが、それを読んだ時に「常用対数じゃないのか」と思ったのです。
そこで対数の底の選択についてググってみたところ、以下のような使い分けがなされるようです。
自然対数
微分が絡む時に便利なため、数学、統計学等で用いられる
常用対数
10進数と関連付けやすいため、生物、化学、工学等で用いられる
このように説明されてみると納得感があります。
会計領域の場合は統計学の要素が強そうな印象があるので、自然対数を用いることが多いのかも知れません。
ちなみに、対数変換の意義について、高田先生は以下のように記載されています。
(前略)対数変換は、極端な値が分析結果に及ぼす影響を制御しつつ、変数間の関係性を捉えるための有効な手段なのである。
思いがけず(?)、対数の勉強になってしまいました。
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