中小企業の事業再生等に関するガイドラインの概要~「企業会計」2026年1月号~
- 1月27日
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「企業会計」2026年1月号の「相談室Q&A会社法務」は「中小企業の事業再生等に関するガイドラインの要点」(後潟伸吾)でした。
この手の事業再生系、特に私的整理についてはいろいろな方法が存在していて、且つ直接的には自分の業務に関係しないため、中身をよく理解出来ていません。
そんな訳で個人的に興味深く拝読しました。
中小企業の事業再生等に関するガイドライン(以下「本ガイドライン」)とは
中小企業者の「平時」や「有事」の各段階において、中小企業者、金融機関それぞれが果たすべき役割を明確化した上で、事業再生等に関する基本的な考え方を示すとともに、より迅速に中小企業者が事業再生等に取り組めるよう、新たな私的整理の枠組みを定めるもの
私的整理
裁判所を関与させることなく、債務者が債権者との協議で行う債務整理手続
法的整理は、全ての債権者が関与し、開始決定は官報に公告される。これに対し私的整理は関与する債権者が限定され、非公開で進むため、信用不安の拡大を抑えやすい。
対象となる債権者の数が限られるため、当該債権者の債務の支払猶予や債務の減免では事業の再生が難しい場合には利用が難しい
現在の私的整理において債務の減免と行うためには、原則、手続に参加する債権者全員の同意が必要で、参加する債権者のうち1名でも反対した場合には債務の減免等ができない
本ガイドラインを利用できる企業と対象債権者
中小企業基本法2条1項の中小企業者のうち、一定の条件(収益力の低下、過剰債務等による財務内容の悪化、資金繰りの悪化等が生じることで経営困難な状況に陥っており、自助努力のみによる事業再生が困難であること等)を満たす企業
債務のリスケジュール・減免の対象となる債権者は、対象企業に金融債権を有する銀行、信用金庫、政府系金融機関、信用保証協会、サービサー等とされている
本ガイドラインを利用した準則型私的整理手続の大まかな流れ
対象企業が外部専門家と第三者支援専門家を選任
外部専門家がDDを実施し、事業再生計画案を作成
第三者支援専門家が、上記の事業再生計画案を調査し、その結果を調査報告書にまとめる
債権者会議(バンクミーティング)を開催し、同意・不同意の意見表明をする期限を決定
上記の期限までに、対象債権者の全員が事業再生計画案に同意し、第三者支援専門家がその旨を文書等で確認したら、事業再生計画が成立
中小企業活性化協議会手続との比較
中小企業活性化協議会手続を利用できない、社会福祉法人、一般財団法人、学校法人等も、事業規模・従業員数等の実態に照らし、本ガイドラインを利用するのが適切と判断される場合には利用できる
中小企業活性化協議会手続では、中小企業活性化協議会という公的機関が関与するが、本ガイドラインでは公的機関は関与しない
中小企業活性化協議会手続は同協議会が手続を主宰するが、本ガイドラインでは、対象企業・外部専門家が手続を主宰するため、比較的スケジュールを柔軟に調整できる
中小企業活性化協議会手続は、対象企業は初期的には外部専門家を専任することなく手続を進めることが可能である一方、本ガイドラインでは手続を進めるために外部専門家の選任が初期の段階で必要
中小企業活性化協議会手続は、企業再生税制を適用させる手続が用意されているが、本ガイドラインでは基本的には企業再生税制を適用できない
感想
私的整理がそもそも存在する理由として「非公開で遂行できるから」というのは、言われてみれば当たり前ですが、「なるほど」と思わされました。
また、中小企業活性化協議会手続と比較すると、本ガイドラインの特徴がよく見えて来て、理解が深まった気がします。
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