不正防止の国際潮流と監査基準改定~「会計・監査ジャーナル」2026年5月号~
- 6月5日
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「会計・監査ジャーナル」2026年5月号の連載「公認不正検査士の不正調査手法」の第79回は「公認不正検査士の不正調査手法と会計監査との相違点及び効果的な連携方法‐第3回‐不正防止の国際潮流と監査基準改定を踏まえたAI時代の会計監査の未来」(築島繁、髙嶋豊、中西知子)でした。
その中から「不正防止の国際潮流と監査基準改定」の部分を取り上げます。
当該論考の目的(引用)
事後的な不正対応から事前の不正防止へ、という国際的な潮流が企業と会計監査の実務にどのような構造変化をもたらしているのかを考察する(引用終わり)
最近の国際的な動向
英国においてEconomic Crime and Corporate Transparency Act 2023により新設された不正防止不履行罪(Failure to Prevent Fraud Offence)が2025年9月1日に施行された
国際監査基準(ISA)240「財務諸表監査における不正」の改訂(以下「ISA240(改訂)」においては「不正レンズ」の概念も踏まえたより初期段階での不正リスク評価が求められている
上記を背景に、企業の不正リスク管理も会計監査も「初期兆候の検知と即時是正」を重視する方向へシフトしており、この点で日本も変わりはない
英国の不正防止不履行罪
不正発見における限界を、「予防責任」という枠組みへの転換によって是正しようとする制度
企業が合理的な不正防止手続を講じていたことが裁判所に認められれば責任を免れる可能性がある一方で、十分と認められなければ罰金(上限なし)を科され得る
企業が管理すべき範囲には従業員だけでなく子会社・代理人・外部委託先などの「関連人物」が含まれ、立法化により、広範な関係者による不正についても責任を問われる可能性が高い
対象領域は財務報告に限らず広義の不正リスク管理全般へ及ぶ
英国とのビジネス接点を持つ日本企業にも適用され得る
ISA240(改訂)
2026年12月15日以後に開始する事業年度から適用
不正レンズ
不正というトピックを「拡大」し、明確に「焦点」または「スポットライト」を当てる思考回路をイメージした概念
会計監査人に求められる事項7つ
1) 職業的懐疑心の強化
2) 監査人責任の明確化
3) 経営者・ガバナンスに責任を有するものとの継続的コミュニケーション強化
4) リスク識別・評価での不正レンズの適用
5) 不正(疑いを含む。)識別時の強化された対応
6) 不正関連KAM(監査上の主要な検討事項)の透明性向上
7) 監査調書要求の強化
リスク評価段階から不正調査手法を取り込むこと(不正の専門家を関与させること)の有効性も示唆している
感想
英国の不正防止不履行罪は、詳しい中身までは解りませんが、よく立法化できたなあと感心してしまいます。
どう運用されていくのか、今後が楽しみ?です。
IAS240(改訂)については、特に目新しさは感じませんでした。
また、監査計画段階での不正専門家の関与については、リスクの高い企業との監査契約の際に意見を参考にするという運用は行われても良いように思います。
全ての監査契約を対象とするのはやりすぎの様な気はしますが。
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