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コロナ資金繰りと経営者保証、それぞれの現状

  • 佐藤篤
  • 2023年9月29日
  • 読了時間: 3分

先日「今後の中小企業金融の在り方」と題された研修をe-learning受講しました。

その中のコロナ資金繰りの状況と経営者保証について取り上げます。


コロナ資金繰りの現状

  • コロナ関連融資の融資承諾実績は2022年12月末時点で件数約249万件、金額約43兆円(2021年3月までの民間ゼロゼロ融資と政府系実質無利子無担保融資の合計ベース)

  • 日本公庫のコロナ融資の返済開始時期ピークはすでに到来済み(2021年6月と2022年6月)。

  • 民間ゼロゼロ融資の返済開始時期ピークは2023年7月から2024年4月に集中している。

  • 民間ゼロゼロ融資は2023年3月末時点で5割近くが返済中。但し宿泊業については、据置期間中と条件変更の比率が他業種に比べて相対的に高くなっている。

  • 倒産件数が増加傾向にあるという報道もあり、それはその通りなのだが、コロナ前の倒産件数には未だ及んでいない。

  • 日本公庫融資は2023年3月末時点で6割近くが返済中。


経営者保証

  • 経営者保証とは、金融機関から事業者(法人)への融資に対して、経営者が連帯保証を提供する制度。主に「経営者への規律付け」、「資金調達の円滑化」というプラス面と、「思い切った事業展開の抑制」、「早期の事業再生の阻害」というマイナス面がある。

  • 2004年度と比較して第三者保証を提供しているものは7割減、物的担保の提供者は半減している一方、経営者保証の提供は横ばいで推移。

  • 経営者保証ガイドラインの運用開始から8年以上経過したが、経営者保証に依存しない新規融資は5割未満。民間金融機関・保証協会は3割程度。

  • 事業承継時に新旧の経営者双方から経営者保証を徴求(二重徴求)する案件は、2017年の37%から2021年は4%まで減少。他方、新経営者または旧経営者のいずれかから経営者保証を徴求する案件は9割に及ぶ。

  • 破産した会社の経営者のうち、7割が個人破産している。経営者保証による影響と推察される。

  • 起業関心層に対する調査では、失敗時のリスクとして「借金や個人保証を抱えること」との回答が8割。

  • 金利が上昇してでも経営者保証を外したいと考える事業者が7割に及ぶ。


感想

コロナ資金繰りについては、借換制度が設けられていることもあって、倒産する企業が多発するという状況にはなさそうです。

ただ、今から半年間位が返済開始時期のピークのため、これからどうなるのかが気になるところです。


経営者保証については、昔は「金融機関はやりすぎだ」と思っていました。

ところが、監査法人を退職し、独立して、様々な中小企業の経営状況をみるようになって、金銭面で杜撰な経営者が少なくないことを知り、「経営者保証もやむなし」と思うようになりました。

本来的には、経営者保証を求めるかどうかは、経営者の信頼度をみて判断すべきなのでしょうが、それが出来るなら苦労しない訳で、個人的には、経営者保証は今後もなかなか減らないだろうと思っています。

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