のれん非償却の実務~㈱日立製作所の事例~「企業会計」2025年11月号
- 佐藤篤
- 2025年11月21日
- 読了時間: 3分
「企業会計」2025年11月号の特集は「のれんの歴史と正体」でした。
その中の「のれん非償却の実務―減損テストや実績開示の実際」(西山光秋)を読んでみました。
著者の西山氏は株式会社日立製作所(以下「日立社」)の取締役で、当論考では日立社における実務のポイントを解説されています。
のれんの減損テスト
のれんは、最低年に1回、減損テストの実施が必要となる(IAS第36号90項)
当年度に実施した企業結合により生じたのれんについても、取得後の事業年度末までの間に最低1回は減損テストを実施する必要がある(IAS第36号96項)
日立社における実務上のポイント
のれんの減損兆候のない案件であっても、仮に減損リスクが高まった場合に重要性がある案件については、会計監査人が執行部門や監査委員会へ定期的に状況報告を実施するなど、複数の観点で情報をアップデートしている
日立社の決算期は3月末であるため、主に1月から3月にかけて翌年度予算を策定しているが、各子会社では2月以前に事業計画案が概ね完成するため、これを用いて減損テストを実施している。これにより、最終的な事業計画の変更が大きくなければ、減損テストに関する監査手続までを原則3月中に終了することが可能となる。
日立社は継続的なM&Aにより減損テストの件数も増加傾向にあるが、前期の回収可能価額の計算において回収可能価額が帳簿価額を大きく上回り、かつ前期以降の計算結果から資金生成単位の状況が大きく変化していない資金生成単位の減損テストには、前期以前に行われた回収可能価額の詳細な計算を当期にも用いる取扱い(IAS第36号99項)を適用することにより、通常の業務スケジュールに落とし込んでいる
将来計画しているM&Aに起因してPPA(Purchase Price Allocation)手続を通じて計上される償却費についても各事業部門の予算数値に折り込み、万が一のれんの減損が見込まれる場合には、各事業部門の業績見通しに反映させる運用とすることで、期末日を過ぎてから新たな議論が生じることを避けることができる
感想
実務上のポイントを読んで感じたのは、期末日(3月31日)経過後に減損損失を計上する・しないで議論になることを避けたいという考えが具体的な実務設計に通底しているな、ということでした。
まあ、当たり前と言えば当たり前のことですが。
それと、会計監査人から執行部門や監査委員会へ定期的な状況報告を実施するというのは面白いと思いました。
会計監査人からアラートを出すことは当然あるのですが、定期的に実施しているというのは個人的に経験がありません。
何をどう報告しているのか、見てみたいものです。
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