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のれんの償却の再導入は見込めなさそう~「会計・監査ジャーナル」2024年6月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年6月4日
  • 読了時間: 2分

「会計・監査ジャーナル」2024年6月号「国際会計基準審議会(IASB)アンドレアス・バーコウ議長・鈴木理加理事に訊く」を読んだのですが、その中でのれんの償却の再導入について一項目割かれていました。


最初に感想を述べると、バーコウ議長、随分はっきり言うなあ、という印象でした。

恐らく日本でばかり、しつこくのれんの償却の再導入のことを尋ねられてウンザリしていて、それが回答に現れたのではないか、と勝手に想像しています。


以下、メモ書きです。


質問

  • 2022年11月にのれんの償却を再導入しないという暫定決定が行われたが、今後IASBにおいて再び議論される可能性はどの程度あると考えているか?


バーコウ議長の答え

  • のれん償却の再導入は日本で最も関心の高い論点であることは承知している。

  • 今回の公開草案は、のれんの会計処理を変更しないとの決定を反映した内容になっている。

  • 日本では償却に賛成する意見が多数派であることは承知しているものの、それはグローバルで共有されているものではない。

  • のれんの償却・非償却のいずれにも利点はあり、「いずれの方法がより優れているか」ではなく、「既存の会計処理を変更するだけの説得力のある証拠があるか」を我々の問いにしなければならない。

  • IASBが既存の基準における取扱いを変更する場合には、特別多数決の賛成と説得力のある証拠の提出が求められるが、本件においてはそのような証拠を得られなかったため、1人の理事を除く13対1という圧倒的多数の賛成により、現行の取扱いを維持するという結論に至った。

  • のれんの償却の再導入について議論する可能性については、非常に厳しい見方ではあるが、「新たな情報」が得られない限り、今後20年間はないであろう。

  • シナジー効果やブランドや買収時の過大対価等複数要素の集合体であるのれんを別個の要素に切り分けることができない限り、今回の決定は再検討されることはないであろう。

  • IASBが重視すべきは、のれんの会計処理ではなく、投資家が真に関心を持ち、一部の投資家が実際にのれんの減損の代用情報として使っている情報を増やすことである。


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