「金融商品に関する会計基準(案)」等の概要~「会計・監査ジャーナル」2026年2月号~
- 2月13日
- 読了時間: 4分
「会計・監査ジャーナル」2026年2月号に掲載されていた『企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」等の概要』(川西安喜、紙谷孝雄)を読んでみました。
まず、ASBJは、2025年10月29日に以下を公表しています。
企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」(以下「金融商品会計基準案」)
企業会計基準適用指針公開草案第88号「金融資産の予想信用損失に係る会計上の取扱いに関する適用指針(案)」(以下「予想信用損失適用指針案」)
移管指針公開草案第17号[金融商品会計に関する実務指針(案)(以下「金融商品実務指針案」)
関連する企業会計基準、企業会計適用指針、実務対応報告及び移管指針の改正に関する公開草案(以下合わせて「本公開草案」)
公表の経緯については以下のように記載されています。
ASBJは、2019年10月に開催された第419回企業会計基準委員会において、金融資産の減損について会計基準の開発に着手することとし、また、金融商品の分類及び測定に関して、金融商品の分類に関する枠組みを維持した上で予想信用損失モデルを取り入れるにあたり最小限の見直しを行い、検討を重ね、その結果を本公開草案として公表した。(引用終わり)
肝心の本公開草案の概要についてですが、検討における6ステップに従って眺めていくのが把握しやすいように感じましたので、以下のようにまとめました。
(ステップ1)IFRS会計基準と米国会計基準のいずれのモデルを開発の基礎とするかの選択
IFRS会計基準のモデルを開発の基礎とした
(ステップ2)金融機関の貸付金に適用される会計基準の開発
IFRS第9号の定めを原則として取り入れつつ、一部の項目については、代替的な取り扱いを定める
予想信用損失モデルの対象となる貸付金の測定に関してIFRS第9号の実効金利法による償却原価に関する定めを取り入れることとした一方、条件変更については、当面の間、関連するIFRS第9号の定めを取り入れないこととした
信用リスクに関する開示について、IFRS第7号「金融商品:開示」で要求される信用リスクに係る開示に関する定めを原則として全て取り入れることとした
(ステップ3)ステップ2を採用する金融機関の貸付金以外への適用の検討
金融商品の分類については、金融商品の種類を基礎とする現行の金融商品会計基準等における枠組みを維持した上でIFRS第9号の予想信用損失モデルを取り入れるにあたり最小限の見直しを行うこととした
予想信用損失モデルの対象となるのは以下の通り
満期保有目的の債券
貸付金代替性私募債
金融保証契約
当座貸越契約及び貸出コミットメント並びにこれらに準ずる契約(以下「貸出コミットメント等」)
(ステップ4)金融機関に適用される会計基準の開発
特に実務上の負担が重いと考えられる以下の項目について「簡素化された予想信用損失算定方法」を定めることとした
信用リスクの著しい増大に関する判定
債権、満期保有目的の債券、金融保証契約及び貸出コミットメント等の予想存続期間
将来予測シナリオ
時間価値の考慮
償却原価の算定にあたって、金利差額調整法における定額法によることを認めることや約定金利(又は約定金利相当の率)によることを認めることとした
(ステップ5)一般事業会社に関する検討
通常の営業取引から生じる受取手形及び売掛金等、並びにリースにより生じた債権についてはIFRS第9号の営業債権、契約資産及びリース債権についての単純化したアプローチに関する定めを取り入れることとした
敷金、将来返還される差入預託保証金(建設協力金及び敷金を除く。)及び預託保証金であるゴルフ会員権については現行の金融商品会計基準等における取扱いを継続することとした
(ステップ6)公開草案の公表
予想信用損失に係る金融商品会計基準等の体型について、IFRS第9号の金融商品の減損に関する定めのうち、ハイレベルな内容については金融商品会計基準案において定め、その他を予想信用損失適用指針案において定めることとした
予想信用損失適用指針案では、まずステップ2の内容を記載した上で、ステップ4でステップ2と異なる取り扱いを定める場合には、区分を設けてまとめて記載することとした
本公開草案の概要は以上の通りで、主に貸出債権のある金融機関が大きな影響を受ける内容となっていますが、一般事業会社の営業債権にも、単純化されたアプローチによるとはいえ、影響が及びますので、要注意です。
コメント