top of page

「金融商品に関する会計基準(案)」から簡素化された「予想信用損失」の算定方法、償却原価の会計処理~「会計・監査ジャーナル」2026年2月号~

  • 2月24日
  • 読了時間: 4分

「会計・監査ジャーナル」2026年2月号に『企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」等の概要』(川西安喜、紙谷孝雄)が掲載されておりました。

 

前エントリーでは、当該解説記事を基に、「予想信用損失」の原則的な算定方法ついて触れました。

 

今回は、簡素化された「予想信用損失」の算定方法と償却原価の会計処理について触れたいと思います。

 

簡素化された「予想信用損失」の算定方法

  • 本公開草案では、特に実務上の負担が重いと考えられる以下の項目について、簡素化された算定方法を示している

①債権等の予想存続期間

内部信用格付を活用して判定する方法を用いている場合には、当該区分において正常先のうち要判定格付、その他要注意先又は要管理先に区分された内部信用格付に含まれる債務者に対する債権等については、それぞれの区分の単位で、リスク特性が類似した債権等のグループごとに当該グループに係る平均残存期間を用いることができ、一旦決定した平均残存期間について、状況に大きな変化がない限り、継続して用いることができる

②将来予測シナリオ

信用損失が発生する可能性について、最も可能性が高い中心となる将来予測シナリオのみを考慮することができる

③時間価値の考慮

貸付金及び重要な金融要素を含む債権について約定金利(又は約定金利相当の率)を用いて償却原価の算定を行う場合、実効金利の代わりにそれぞれ約定金利(又は約定金利相当の率)を用いて割引を行うことができる

  • 上記の各項目については、部分的に原則的な処理を適用することによって企業の信用リスク管理実務をより適切に反映する場合があると考えられることから、企業の判断により個別に選択して適用できる

  • 企業が「簡素化された予想信用損失の算定方法」の各項目を適用したかどうかについて、企業が企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に照らして重要な会計方針に該当すると判断した場合には重要な会計方針として注記する。加えて、開示目的に照らして重要な場合には信用リスク管理実務及び予想信用損失の算定プロセスに関する情報として注記することが考えられるとしている。

 

償却原価の会計処理

  • 貨幣の時間価値を反映する際に用いられる金利と予想信用損失の算定の対象となる金融資産の償却原価の算定に用いられる金利が整合的になるように、予想信用損失の算定の対象となる貸付金(貸付金代替性私募債を含む。)及び重要な金融要素を含む債権並びに満期保有目的の債券に関する償却原価の算定は、原則として実効金利法による

  • 実効金利には、契約の当事者間で授受されるすべての手数料及びポイントのうち実効金利の不可分な一部であるもの、金融資産の取得又は売却に直接起因する増分コスト、及びその他のすべてのプレミアム又はディスカウントが含まれる。さらに、金融商品のすべての契約条件(例えば、期限前償還、期限延長、コール及び類似のオプション)を考慮して期待キャッシュ・フローの見積りを行うものの、予想信用損失は考慮しない。

  • 実効金利に含める手数料等の範囲については、原則としてIFRS第9号と同一の範囲を提案しているが、一定の要件を満たす手数料については実効金利の計算に含めず、収益認識会計基準に準じて会計処理することができる

  • 組成した貸付金及び重要な金融要素を含む債権のうち発生の認識時に信用減損していないものについては、実効金利の代わりに約定金利(又は約定金利相当の率)を用いることができる。この場合、貸付金に関連する手数料については、金利と切り離した上で、収益認識会計基準に準じて、手数料の性質に基づき履行義務の充足パターンに沿って収益を認識する。

  • 償却原価の算定における期間配分の方法は原則として利息法によることとするが、購入した貸付金及び重要な金融要素を含む債権のうち発生の認識時に信用減損していないもの、購入又は組成した信用減損債権、並びに満期保有目的の債券については、一定の場合には金利差額調整法における定額法によることができる

  • 受取利息については、原則として償却原価に実効金利を適用して算定するが、信用減損金融資産に関しては以下の通り算定する

    • 購入又は組成した信用減損債権については、債権の帳簿価額に信用調整後の実効金利を適用して算定する

    • 購入又は組成した信用減損債権ではないが、その後に信用減損金融資産となった金融資産については、信用減損金融資産となった後の期において、金融資産の帳簿価額に実効金利を適用して算定する

 

感想

簡素化された方法を採用する場合には内部格付が用いられることになりますが、これまで会計監査人は債務者区分を中心に自己査定監査を行っており、内部格付にはあまり注意を払ってこなかったのではないかと思われます。

そういった意味では、会計監査上も今から内部格付の検証を行っておく必要がありそうです。

最新記事

すべて表示

コメント


記事: Blog2_Post

©2020 by 佐藤篤公認会計士事務所。Wix.com で作成されました。

bottom of page