非財務指標を組み入れた株式報酬の法人税法上の取扱い~「企業会計」2025年9月号~
- 2025年9月30日
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「企業会計」2025年9月号に掲載されていた「相談室Q&A法人税務」の「非財務指標を組み入れた株式報酬の法人税法上の取扱い」(荒井優美子)を読んでみました。
以下、当該記事からの抜粋です。
まずは、現行法上の原則は以下の通りです。
業績連動型の役員給与(以下「業績連動給与」)が法人所得の計算上、損金算入が認められる(以下「損金算入業績連動給与」)のは、算定方法が財務指標に基づく客観的なものである場合に限られているため、非財務指標に基づく業績連動給与は損金算入が認められていない。
そもそも法人税法上、損金算入が認められる役員給与は以下の通りです。
定期同額給与
事前確定届出給与
一定の要件を満たした業績連動給与
退職給与(業績連動給与に該当するものを除く)
のいずれかに該当する場合に限られる(相当に高額な部分を除く)
その内、業績連動給与の損金算入要件は以下の通りです。
内国法人がその役員に対して支給する給与であること(同族会社の場合は、非同族会社による完全支配関係がある法人に限る)
算定方法が財務指標(※)に基づく客観的なものであること
金銭の場合は確定額、株式または新株予約権の場合は確定数を限度とすること
他の業務執行役員と同様の算定方法を用いること
算定方法を有価証券報告書等で開示していること、
算定方法を一定の日までに適正な手続により決定していること
一定期間までに交付または交付される見込みであること
損金経理をしていること
上記全てを満たす必要がある
※利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標、売上高の状況を示す指標等の財務指標に限られる
非財務指標を役員報酬の連動指標として採択しても、算定方法の指標の要件を充足できないため損金算入は認められないことになる
ということなのですが、一方で「非財務指標を組み入れた業績連動型株式報酬の税務上の取扱い」(2025年5月20日付文書回答事例)(以下「文書回答事例」)というのがありまして、以下、それに出てくる事例の算定式と導かれる解釈を示します。
業績連動型株式割当契約に基づく交付株式数の算定式
基準交付株式数×株式交付割合Ⅰ(株式成長率0~150%に応じて確定)×株式交付割合Ⅱ(ESG対応状況80~120%の範囲で評価)×役務提供期間比率
↑は下記(算式a)と(算式b)の合計として計算可能
(算式a)基準交付株式数×株式交付割合Ⅰ×80%×役務提供期間比率
(算式b)基準交付株式数×株式交付割合Ⅰ×(株式交付割合Ⅱ-80%)×役務提供期間比率
業績連動給与の損金算入要件である「算定方法が財務指標に基づく客観的なものであること」を(算式a)は充足するが、(算式b)は充足しない
上記を踏まえての当該記事の結論です。
役員報酬の一部に非財務指標を組み入れた場合でも、業績連動給与の全てが損金不算入となるわけではなく、業績連動給与としての要件を満たす部分を明示的に切り分けられるときには、当該部分については原則として損金算入できると考えられる。
当該記事からの抜粋は以上の通りです。
個人の感想としては、そもそも損金算入できない非財務指標を業績連動給与に組み入れるべきではないと思うのですが、企業側にはそうもいかない事情があるのかも知れません。
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