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雇用統計の信頼性と日銀の金融正常化タイミング~最近の経済ニュース~

  • 佐藤篤
  • 2023年1月10日
  • 読了時間: 2分

先日、米国の雇用統計が発表されました。

失業率は予想を下回り、まだまだ雇用環境は良さそうですが、そもそもその結果の信頼性に疑問を呈しているニュース解説がテレ東のモーサテで放映されていました。


雇用統計の信頼性

  • 毎月の雇用統計では雇用者数の伸びについて事業所調査と家計調査の2種類のデータが公表されている。

  • 事業所調査は非農業部門雇用者数で通常我々が注目しているデータだが、家計調査の雇用者数の伸びと最近大きな乖離が生じている。

  • そもそも雇用者数の定義に違いがあるため、両者に乖離が発生することは珍しくはないが、2022年4月以降の乖離は例年になく大きくなっている。

  • 乖離の要因

    1. 2022年に入って事業所調査のサンプル回収率が過去10年間の平均と比べ大きく低下している。

    2. 複数の仕事を持つ人について、家計調査では1度しかカウントしないが、事業所調査では仕事ごとにカウントしている。

感想

データの信頼性はサンプル数に相関しますし、高インフレ下で仕事の掛け持ちをする人も少なくないと想像され、結構説得力のある解説だなと思いました。



また、米国の3ヶ月平均雇用者数の変化幅は2四半期先行の融資基準と相関するというデータについても解説がありました。


それによると、現状米国では融資基準が急速に厳格化しているため、雇用者数は減少基調をたどると想定されるとのこと。

先日の雇用統計でも失業率は良化したものの、新規雇用者数は減少トレンドにあり、上記の雇用統計の信頼性を考慮すれば、実際のところは楽観的な状況にはない可能性もありそうです。



一方、諸外国の経済状況が日本の金融政策に及ぼす影響について、以下の解説がなされていました。


日銀の金融正常化タイミング

  • 日銀総裁の交代は4月だが、そこが米国や欧州の利上げ打ち止めやリセッション入りと重なる可能性があり、そのタイミングで金融正常化を実施すると、急激な円高や金利急騰を招く恐れがある。

  • そのため、日銀総裁の交代に先んじて金融正常化を実施してくる可能性がある。

  • 1%金利が上昇すると、国債費(元利払い費)が4兆円上振れる試算があり、財政悪化懸念が台頭する。


この点に関しては、YCCの再修正は急がない旨のニュースが流れ、一応は否定されましたが、日銀が4月までに米国や欧州の利上げ打ち止めやリセッション入りはないと確信しているのか、それともブラフなのか、何とも判断がつきません。


ただ、上述のように米国の雇用環境がデータ以上に良くないとすれば、金融正常化のタイミングを失してしまう可能性がある訳で、そうなった場合の影響が寧ろ心配ではあります。

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