自発的な会計方針の変更事例分析~「企業会計」2023年12月号~
- 佐藤篤
- 2023年12月22日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2023年12月号に、特別企画として「決算開示のトレンド2023」が掲載されていました。
開示分析は自分でやろうとするとかなり時間を要するので、こういった記事はとてもありがたいです。
対象は会計上の見積り、会計方針の変更、サステナビリティの3つで、この中から、個人的に気になる会計方針の変更の中の自発的な変更を取り上げます。
分析対象
日本基準を適用するJPX日経400採用3月末決算上場企業
自発的な変更の内容
1.棚卸資産の評価方法の変更;3件
変更内容は様々だが、いずれもITシステムの変更や統合を変更の理由に含めていた。
感想
過去2年ほどの資源価格の高騰もあって、変更したくなる気持ちはよく理解できるところです。
2.固定資産の減価償却方法の変更(定率法→定額法);2件
いずれも資産の安定的な稼働を変更の理由としていた。
税引前利益への増減率の平均は+38.4%
感想
自発的な会計方針の変更の定番(?)です。それにしても利益の増加インパクトが大きいです。担当監査チームのご苦労が偲ばれます。
3.外貨換算方法の変更;2件
いずれも在外子会社の収益および費用の換算レートを決済日の直物為替相場から期中平均相場に変更するもの。
感想
通常はそう多くない事例ですが、急激に円安が進んだ今年の状況からすると、気持ち的には理解できるところです。
4.収益の認識方法の変更;2件
ガス事業を行う企業2社が検針日基準から引渡基準(決算月の検診日から期末日までの売上高を見積り計上する方法)へ変更。
感想
どうしてガス事業の2社だけが2023年3月期の変更になったのかはよくわかりませんが、別記事業ですし、これ以上深堀しません。
全体的な印象としては、為替や資源価格の影響を平準化させたい意図が感じられます。これだけ為替も資源価格も上下すれば、無理もありません。
また、概ね景気が良かったせいか、件数的に少ない印象です。景気次第で自発的な会計方針の変更が増減する事自体いかがなものかとは思うのですが。。。
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