管理会計と心理学の関係~「企業会計」2025年5月号~
- 佐藤篤
- 5月23日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2025年5月号の会計時評のコーナーは「管理会計と心理学①」(篠田朝也)でした。
表題を一見した印象としては「?」でしたが、読んでみると「なるほど」と感じました。
ただ、管理会計特有かというと、そうでもない気がしますが。
人間の合理性の限界
限定合理性
人間の処理能力の限界や時間的な制約が、会計情報の収集、整理、利用や解釈に偏りを生じさせる
ヒューリスティクスとバイアス
ヒューリスティクスとは、人間が素早く意思決定を行うための認知のショートカットのこと。これがバイアス(認知の歪み)を伴い、非合理的な意思決定を引き起こすことがある。
(アンカリング効果)
管理会計の実務で、前年度の実績値が目標値の基準となることがある。事前に与えられた基準を当たり前に受け入れる実務が、柔軟な意思決定を妨げる要因となる場合がある。
(確証バイアス)
管理会計を用いた分析において、都合の良いデータだけを重視していれば、誤った経営判断につながる
(現状維持バイアス)
企業実務の場面でも、過去のやり方に固執し、必要な改革を先送りしてしまうケースは少なくない
サンクコスト効果
管理会計の観点からは、これをどのように抑制できるのかという論点が重要となる
近年の研究では、将来の費用と収益を明示したり、サンクコストに関する単純な警告を出したりすることでは、サンクコスト効果の抑制に繋がらないことが明らかになっている
一方で、意思決定者に適切な再評価を促す指示を出すことが効果的であると指摘している
感想
限定合理性に関しては、締切がある以上、やむを得ない気もします。
例えばセグメント注記も、凝り出せば際限なく細かく出来てしまいますが、それだと開示期限に間に合わなくなるので、凡そのところで「良し」とするのが実務上は合理的な選択となります。
現状維持バイアスについていえば、実務上は改革提案者がその仕事を担わせられることが多いため、その必要性を感じていても、敢えて黙っているというケースが多いように思います。
結局はマネジメントの問題なのだと思います。
また、サンクコストについては、企業経営に限らず様々な場面で登場してくる概念で、抑制が困難だなと常々感じています。
「損切りは早めに」とは、頭ではわかっているのですが。
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