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税効果会計の理解の仕方

  • 佐藤篤
  • 2022年4月29日
  • 読了時間: 2分

「会計・監査ジャーナル」に連載されている「会計相談Q&A」の2022年5月号は資産除去債務にかかる税効果会計が取り上げられていました。


内容自体には何の異論もないのですが、その中でふと気が付いたことがありました。

それは資産除去債務に係る税効果会計の考え方として、以下の二つが示されていたことです。

  1. 税務上の資産・負債と会計上の資産・負債について、それぞれ将来加算一時差異および将来減算一次差異に見合う繰延税金負債及び繰延税金資産を計上する方法

  2. 当初認識時は会計上の利益及び課税所得のいずれにも影響を与えないことから、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上せず、その後の減価償却費の計上及び時の経過による資産除去債務の調整額に係る将来減算一時差異に見合う繰延税金資産のみ計上する方法

日本では税効果会計において資産負債法が採用されており、会計実務に馴染んでいると、この2つ目の考え方は頭に思い浮かんで来ません。

「そうか、そういう考え方もあったな」と思うと同時に、昔のことを思い出しました。


税効果会計が導入された当初はまだ会計士試験受験生だったか合格したばかりかの頃で、税効果会計をよく理解していませんでした。

そういう税効果会計を学び始めた時期は2つ目の考え方が理解しやすいです。

つまり、法定実効税率と法人税等の負担率の差の内、一時差異に起因する部分を損益計算書上法人税等調整額で埋め、その結果として貸借対照表に繰延税金が計上されるという理屈です。

これが資産負債法になると、会計上の資産負債と税務上の資産負債の差に貸借対照表上繰延税金を認識し、その繰延税金の増減が損益計算書の法人税等調整額に純額として計上されるという理屈になり、スムーズには理解し辛いのです。

とは言え、税効果会計については資産負債法で理解しないと会計処理を誤ってしまうため、理屈なんてどうでもいいということにはならないので、頑張って理解しておく必要があります。


話を資産除去債務に係る税効果会計に戻すと、ある意味今更な感じもする論点ですが、繰延税金が資産サイドにも負債サイドにも計上され得るので多少ややこしい面があります。

頭の整理を兼ねて、当該「会計・監査ジャーナル」記事を一読されるのもいいかと思います。


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