特定引当金の歴史~「企業会計」2026年1月号~
前回のエントリーでは「企業会計」2026年1月号の特集「企業会計クロニクル 時代が動いた15の潮目」から減価償却を取り上げましたが、今回は同特集から引当金です。
引当金(池田幸典)
1949年の「企業会計原則」制定時点では、資産の控除項目たる引当金として貸倒引当金と減価償却引当金が例示され、流動負債に記載すべき引当金として納税引当金と修繕引当金の例示があるに過ぎなかった
1974年に企業会計原則注解注18「負債性引当金について」が公表されるまで、企業会計原則で引当金に関する包括規定は示されなかった
1962年4月の商法改正で登場した商法第287条ノ2は「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ニ引当金ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルトキハ其ノ目的ヲ貸借対照表ニ於イテ明カニスルコトヲ要ス 前項ノ引当金ヲを其ノ目的外ニ使用スルトキハ其ノ理由ヲ損益計算書ニ記載スルコトヲ要ス」と規定した
実務上、商法第287条ノ2の解釈を巡っては、負債性引当金だけでなく利益留保性の引当金も計上できるとする説が支配的となり、様々な利益留保性の引当金、すなわち「特定引当金」が計上されるに至った
特定引当金問題は、1981年の同条文の改正によって排除されることで解決した。改正後の第287条ノ2は「特定ノ支出又ハ損失ニ備フル為ノ引当金ハ其ノ営業年度ノ費用又ハ損失ト為スコトヲ相当トスル額ニ限リ之ヲ貸借対照表ノ負債ノ部ニ計上スルコトヲ得」と規定された。
これを受けて「企業会計原則」側でも、1982年に特定引当金について規定した企業会計原則注解注14を廃止し、企業会計原則注解注18「引当金について」で「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部または資産の部に記載するものとする」と規定した
感想
利益留保性の引当金は会計士試験の財務諸表論の論点として記憶にある位で、実務ではお目にかかったことはありません。
が、引当金勘定ではなく、未払債務という形で実質的な利益留保を行っている会社はいくつかみたことがあります。
利益を出すとその大半を配当として親会社に吸い上げられてしまう子会社が、その対策として行っているパターンがほとんどでした。
会計監査的には、対応が悩ましい会計処理の1つでありました。
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