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次期会社法改正の主な論点~「会計・監査ジャーナル」2025年7月号~

  • 佐藤篤
  • 7月15日
  • 読了時間: 3分

「会計・監査ジャーナル」2025年7月号に「次期会社法改正の主な論点」(小林雄介)が掲載されておりました。

 

当該論考は、2025年2月公益社団法人商事法務研究会「会社法制研究会報告書」をもとに著されたとのことで、改正の論点を網羅的に取り上げたものではありません。

 

また、以下のまとめも当該論考の一部を個人的にピックアップしたものです。


 

従業員等に対する株式の無償交付

(現状)

株式そのものを報酬等として付与する株式の無償交付は、上場会社の取締役または執行役の場合のみに限られ、従業員等には無償交付することが許されていない。

(主要論点)

既存株主の利益の保護の在り方

従業員等の場合、令和元年改正時に取締役等への報酬等として無償交付を認めた際に有利発行規制の適用を除外した理由は該当しないことから、有利発行に該当する可能性があることを前提に、既存株主保護のための手続きとして株主総会決議を求めることが必要なのではないか

(対応案)

  • A案;原則株主総会決議を要件としない。ただし無償交付が有利発行に該当する場合には株主総会の特別決議を必要とする。

  • B案;無償交付の範囲及び株式の事業年度ごとの上限を株主総会の普通決議により定めた場合は、無償交付が有利発行に該当する可能性がある場合でも株主総会の特別決議を要しないとする。

 

現物出資規制の見直し

(現状)

株式会社に対して現物出資をするためには、原則として裁判所の選任する検査薬の調査が必要とされており(会社法207条1項)、例外的に検査役の調査を不要とできる場合も認められてはいるものの(同条9項各号列挙の例外事由)、要件を満たすことが容易ではない等の理由から、実際にはあまり活用されていない。

(主要論点一)

検査役調査制度の見直し

(対応策)

  • A案;株主総会の特別決議で募集事項を決定すること、公開会社においては当該事項を事業報告の内容に含めることという規律のもとで、検査役の検査を不要とする新たな例外事由を認める

  • B案;検査役の調査を不要としている例外事由の一つである会社法207条9項4号に関して、現行法上限定列挙されている有資格者(弁護士等)でなくとも、実質的に専門知識を有するものも証明ができるように見直すことや、引受人の不足額填補責任及び証明者の不足額填補責任について、立証責任の転換のない過失責任とするなどの見直しを合わせて行う


(主要論点二)

不足額填補責任の見直し

(対応策)

責任の性質及び責任の範囲について、その両面から関係者の不足額填補責任を緩和しようとする案が検討されている。

 


バーチャル株主総会

(現状)

通信方法に係る障害が生じた場合に株主総会の決議の取消し等のリスクへの懸念から、バーチャル株主総会の実施を躊躇するケースがある。

(論点)

現状への法的手当

(対策案)

通信方法に係る障害により「株主総会の決議の方法が法令又は定款に違反」した場合に(会社法831条1項1号前段)、株式会社の故意又は重大な過失によって当該障害が発生した時でない限りは、株主総会の決議取消し事由にならないというセーフハーバールールを設ける。但し、「決議の方法が(中略)著しく不公正な時」(会社法831条1項1号後段)に該当することを理由とするもの及び株主総会の決議の不存在の確認の訴え(会社法831条1項)については、セーフハーバールールを設けない。

 


感想

現物出資とバーチャル株主総会については、緩和しすぎると悪用されるリスクが高そうだなあ、という印象を持ちました。

例えば、バーチャル株主総会の通信障害については、立証責任を株式会社側に負わせる等の手当が必要な気がします。

 

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