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就業規則とは?~「企業会計」2025年10月号~

  • 佐藤篤
  • 10月31日
  • 読了時間: 4分

「企業会計」2025年10月号の連載「経理パーソンの仕事に役立つ法律知識」(平木太生)の第3回は「就業規則」でした。


会計監査人の立場では、クライアント企業の就業規則の妥当性等にまで踏み込むことはないので、当該解説を読んで、知らないことが多いことを改めて認識させられた次第です。

 

就業規則とは

  • 会社が多くの従業員を抱える場合、各従業員とそれぞれ労働条件を定め、変更の際も全ての従業員と合意することは困難である。そこで就業規則を作成することで、画一的・統一的な労働条件を定めることができ、効率的な労働管理が可能となる。

  • 10人以上の労働者を使用する事業場においては、就業規則を作成する義務があり(労基法89)、これに違反すると30万円以下の罰金が課される可能性がある(労基法120一)

  • 作成した就業規則は労働基準監督署長へ届出を行い(労基法89)、届出後に労働者に対して周知しなければならない(労基法106)

 

労働基準法との関係

  • 経営者が、労働基準法が定める最低基準の労働条件を下回る就業規則を制定した場合、当該部分は無効となり、無効となった部分については労働基準法が定める内容が適用されることになる

 

就業規則の変更

  • 労働契約の内容である労働条件を変更するには、労使間の合意が必要であると規定されている(労契法8)

  • 例外的に、就業規則の変更によって画一的に労働条件を不利益に変更することも一定の場合に認められている(労契法10)

 

採用

  • 労働条件を明示するにあたり、労働基準法に規定されている事項を原則として書面により交付し明示する必要がある(労基法15)が、あくまで労働条件を明示した書面を交付すれば足り、雇用契約書を書面作成する義務まではない

 

異動

  • 会社が、業務上の理由から労働者の就業場所や従事する業務を変更することは、変更がない旨の特別な合意等がない限り可能であるが、トラブル回避のため、就業規則に人事異動に関連する事項を明記しておくべき

  • 労働者の就業場所を変更しようとする場合、会社は労働者の育児や介護の状況に配慮しなければならない(育児介護休業法26)

 

遵守事項

  • 就業規則に必ず定めなければならない事項ではないが、会社によってはかなり細かく規定していることもある。違反した場合、労働者は懲戒処分等を受けることもあるので、自分の会社がいかなる事項を遵守事項として定めているのか把握しておいた方がよい

 

ハラスメント禁止

  • 会社は各種ハラスメントを防止するため、雇用管理上必要な措置を講じなければならない(パワーハラスメントについて労働施策総合推進法30の2、セクシャルハラスメントについて雇用機会均等法11等)

  • 会社が何らかの措置を講じていない場合、債務不履行責任を追求される可能性がある

 

労働時間、休憩および休日

  • 就業規則の絶対的必要記載事項に当たる

  • 労働基準法に1週間の労働時間の上限、1日の労働時間の上限、休憩時間についての規定があり、原則それらに従う(労基法32①、②、34)

  • ただし、会社の業務実態に合わせ、例えば1ヶ月単位の変形労働時間制などを採用することも可能(労基法32の2)

  • 法定労働時間を超え、または法定休日に労働させる場合、労使協定の締結および届出が義務付けられている(労基法36)(所謂「三六協定」)

  • 三六協定における労働者代表とは、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合にはその事業場の労働者の過半数を代表するもの(過半数代表者)をいう

 

休暇等

  • 雇い入れの日から6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対しては最低10日の年次有給休暇を与えなければならない(労基法39①)

  • 「働き方改革関連法案」により、2019年4月1日から、使用者は10日以上の有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日間、時季を指定して有給休暇を取得させることが義務付けられた(労基法39⑦)

 

割増賃金

  • 労働基準法37①、④に従って規定する

  • 「固定残業代」(みなし残業代)としてあらかじめ金額が決められた残業代を支給する場合でも、三六協定における時間外労働の上限を超えず、また固定残業代で設定された時間を超えて残業した場合は、その分の残業代を別途支払う必要がある等、労働基準法に違反しない形式にする必要がある

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