受取配当金の売上高計上~住石ホールディングス㈱~
- 2024年2月2日
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決算発表シーズンも前半の山場に差し掛かっており、夜な夜な様々な会社の決算短信を眺めております。
そんな中、住石ホールディングス株式会社(以下「住石HD社」)が2024年3月期第3四半期の決算短信を発表していたのですが、サマリーをみて、「?」となってしまいました。
そのサマリーの該当箇所です↓。

売上高の減少と営業利益の増加があべこべです。
「何だこれは?」と思って経営成績に関する説明を読んでみると、石炭事業部門について、以下のような記載がありました。
石炭販売取引において販売数量が減少しましたが、豪州ワンボ炭鉱からの受取配当金が増加したこと等から、(中略)減収増益となりました。
この配当金の受取に関して、住石HD社は2023年9月29日に「豪州の出資先担当からの配当金の受領に関するお知らせ」をリリースしています。
これによりますと、住石HD社の連結子会社である住石マテリアルズ株式会社(以下「住石マテリアルズ社」)が保有している、豪州の炭鉱会社(ワンボ炭鉱)発行のBクラス株式について配当金を受領したとのことで、金額的には56.4百万豪ドル(邦貨換算53.9億円)と記載されています。
そこで連結PLをみてみました。

営業外利益の受取配当金は7百万円しか計上されていません。
一方で売上総利益率が前年同期(2023年3月期第3四半期)は5.8%なのに対し、当四半期(2024年3月期第3四半期)は38.1%と跳ね上がっています。
どうやら上記の受取配当金は売上高に計上されているようです。
金融機関であれば受取配当金は売上高(経常収益)に計上されますが、一般事業会社では、私はみたことがありません。
そこで、配当金を受領した住石マテリアルズ社の事業の内容を住石HD社の2023年3月期の有価証券報告書を確認してみたところ、「資産の管理等」とあります。

なるほど、資産管理会社を連結子会社に一つ持っていれば、受取配当金を売上高に計上できる余地がありそうです。
ただ、住石HD社の本業と関連がある会社からの配当受領だから売上高計上が認められているだけで、これが例えば外食業からの配当金だったらどうなのだろう、とも考えてしまいます。
いずれにしても、勉強になった決算開示でありました。
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