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公営企業(特に上下水道事業)を取り巻く現状~「会計・監査ジャーナル」2025年5月号~

  • 佐藤篤
  • 6月17日
  • 読了時間: 3分

「会計・監査ジャーナル」には非営利・公会計関連の記事がほぼ毎月掲載されています。

私は自分の業務に関連しないため、滅多に読むことはないのですが、2025年5月号に掲載されていた「公会計協議会主催セミナー公営企業を取り巻く現状と公認会計士の貢献開催報告」(川口雅也)は、会計士の立場を離れて、学びになる内容でありました。

 

以下、「公営企業を取り巻く現状」部分のメモ書きです。

 


公営企業とは

  • 地方公共団体が経営する企業。料金収入による独立採算性を基本としているが、消火栓のような公共性の高い施設整備や、下水道事業における雨水処理など、受益者負担になじまない事業については、一般会計等からの繰入れも認められている。

 


公営企業の健全化

  • 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づいて管理されている。

  • 資金不足比率が20%以上になると経営健全化団体となり、健全化計画の策定等が義務付けられる。

  • 2009年度の制度開始時には49会計が基準以上となっていたが、現在では8会計まで改善している。

 


公営企業の現状

  • 財務の現状は、総収益が増加している一方で、総費用がそれを上回るペースで増加しており、経常収支は黒字を維持しているが、営業収支比率が低下している。

 


公営企業の課題

(全般)

  • 人口減少による需要減少

  • 施設の老朽化と更新需要の増大

  • 技術職員の確保・育成の困難さ


(上水道事業)

  • 料金回収率の地域間格差解消や施設の大量更新への対応


(下水道事業)

  • 人口密度と経費回収率に相関があり、施設・管路の老朽化対策が課題

 


上下水道事業

  • 上水道普及率は98%、下水道の集合処理率は80%超という高い普及率を実現しているが、このような整備状況がインフラの維持管理における大きな課題となっている。

  • 料金収入で維持管理と更新投資を行う単純な構造を持つが、その収入源である水需要は、今後100年、200年にわたって際限なく減少することが確実視されている。この水需要の減少の背景には、人口減少だけではなく、節水機器の普及という技術的要因もある。

  • 水需要は2010年頃に頭打ちとなり、以降は減少の一途をたどっており、施設利用率は全国平均で6割というのが現状。

  • 管路については、漏水している管路に特化した更新を行い、健全な管路については根拠ある先送りを実施することで、更新事業費の大幅な削減が可能となる。

  • 上水道管が圧力管であるのに対し、下水道管は流下方式で勾配をつけて掘らなければならないため、上水道事業に比べて、下水道事業の投資規模は3倍から4倍必要となる。

  • 20年後には下水道の大規模な更新投資が必要となるが、人口減少期における更新投資は極めて困難で、これは自治体破綻の要因になりうる。

  • この課題に対して、集合処理から個別処理(合併浄化槽)への転換が提案されており、特に人口密度40人/haル以下の地域で更新投資を10分の1に削減することが可能となる。

 


感想

知らないことばかりで、面白く拝読しました。

特に上水道管と下水道管の工事コストが3倍から4倍も異なるというのは、想像すらしていませんでした。


たまには、自分の業務に直接関係しない記事を読むのも良いものです。

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