会計の視点から国の財政を見る~「会計監査ジャーナル」2022年10月号~
- 佐藤篤
- 2022年10月4日
- 読了時間: 3分
「会計監査ジャーナル」2022年10月号に掲載されていた「会計の視点から国の財政を見る」(園田雅宏)という記事を読んでみました。
歳入歳出と財源・業務費用に係る説明も記事にはあるのですが、財政状態の部分が興味深かったので、そこだけに絞ってメモをシェアします。
令和2年度のストックの状況
資産合計は令和元年度から39.5兆円増加して720.8兆円となった。この増加の主な要因は現金・預金、貸付金、出資金である。
現金・預金の主な増加要因は新型コロナ対策事業の令和3年度への繰越し分。
貸付金の主な増加要因は㈱日本政策金融公庫などの政策金融機関等に対する財政融資資金貸付の増加によるもの。
出資金の主な増加要因は㈱日本政策金融公庫等への出資の増加の他、大学ファンドの創設に向けた(国研)科学技術振興機構への出資の増加による。
負債合計は令和元年度から102.9兆円増加し1,376.0兆円となった。内、公債残高は1,083.9兆円。令和2年度は特例国債が48.0兆円、財投債が27.7兆円それぞれ増加。
上記より、令和2年度の資産・負債差額(純資産に近い概念)は令和元年度から63.4兆円悪化し、△655.2兆円となった。
社会保障関係
資産・負債差額と特例国債残高の動きは概ね連動している。超過費用(財源と業務費用の差額で当期純損益に近い概念)の主要因である社会保障費の不足分は特例国債により賄われていること、道路・河川など固定資産等への支出額と資産計上された有形固定資産の減価償却費が近い水準にあることなどの理由による。
社会保障関係費から社会保険料収入を差し引いた額は近年概ね△30兆円台で推移している。これが一般会計における租税等収入で賄うことができれば社会保障に関する費用と財源は均衡しているといえるが、均衡していないのが現状である。
年金関係
貸借対照表に計上されている運用預託金勘定は、国がGPIFに預けている金額である。
運用預託金などの将来の年金給付財源に充てることが明確な資産に対する金額を「公的年金預り金」として負債計上しているが、それ以外の年金給付債務は計上していない。これは年金制度が賦課方式を基本とした財政方式で運用されているためである。仮に積立方式でみた場合に現時点で必要な積立額は1,320兆円で、国の貸借対照表の負債合計と同程度の規模になる。
貸付金関係
貸付金は主に新型コロナにより影響を受けている中小・小規模事業者向けの融資規模拡充のための貸付の増加と、令和3年度以降は大学ファンドの原資となる貸付金が増加していく見込み。これらの回収可能性が毀損された場合、結果として一般会計が毀損された部分を負担することになりかねない。
国債関係
平成25年4月からの「量的・質的金融緩和」により日銀が保有する国債残高が増え続けているが、国と日銀を連結すれば債権債務が相殺されるため、実際は財政に余裕があるのではないかという意見がある。この点、日銀の貸借対照表を見ると国債残高が増加していると同時に負債に計上されている当座預金も増加している状況にあり、連結したところで債務額に大きな変動はない。
公債残高は増加しているが支払利息は減少傾向となっていて、これは近年長らく国債金利がゼロ近傍に抑えられていたことによる。今後仮に金利が上昇すれば、財政悪化要因になる。
感想
どこの国も何等かの問題を抱えており、日本だけがマズイ状況にある訳ではないとはいえ、こうやって並べてみると、問題山積だなぁと実感させられます。
特にコロナ対策として実施された所謂ゼロゼロ融資については、果たしてどれだけの焦げ付きが発生するのか、その結果としてどれだけ国の負担が生じるのか、個人的に暗澹たる気持ちでいます。
コメント