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企業の政治的つながりと財務報告・監査との関係~「企業会計」2023年11月号~

  • 佐藤篤
  • 2023年12月1日
  • 読了時間: 2分

「企業会計」2023年11月号に面白そうな記事を見つけました。

「企業の政治的つながりと財務報告・監査との関係」(島田佳憲)です。

 

内容は、政治的なつながりを持つ企業(以下「PCF」)の財務報告・監査への影響を、政治的なつながりを持たない企業(以下「非PCF」)と比較することで明らかにした様々な研究の結果を紹介するものです。

ここで「政治的なつながり」は「10%以上の議決権を持つ大株主や、CEO、代表取締役、社長や副社長といった取締役構成員が、国会議員、大臣や知事であったり、政治家ないし政党と密接な関係を持つ企業」(Faccioの定義)とされているようです。

 

財務報告の質

  • PCFの財務報告の質は非PCFよりも高いという研究成果と低いという研究成果が確認されている。


(日本を含む19カ国におけるPCFの財務報告の質を分析した研究)

  • 裁量的会計発生高によって測定された財務報告の質が異なるかを比較したところ、PCFの財務報告は非PCFよりも低質であることが報告された。


(ベネズエラ(収用リスクが高い国)の工業企業対象に行われた研究)

  • 政治腐敗が進み、政府が強権的な行使力を有する場合、生産性の低い企業は、国家から保有資産を収用されるという介入を受ける可能性がある。

  • PCFは、非PCFよりも財務報告の質が高く、この関係性は収用リスクが高い時により大きくなる。

 


財務諸表監査

  • 企業内部資産の流用にかかる疑いを晴らしたい場合、大規模監査法人を選ぶ。

  • 企業内部資産の流用を隠蔽したい場合、大規模監査法人以外を選任する。


(日本を含む28カ国を対象に分析した研究)

  • PCFは非PCFよりも大規模監査法人を選好することが確認されている。


(2004年〜2014年における中国国有企業及び非国有企業の官僚汚職データを利用し、汚職官僚の罷免前後、つまり政治的つながりの解消前後の監査意見や監査人の選任について分析して研究)

  • 解消後、国有企業では地元の小規模監査法人が任命される可能性が高い一方、非国有企業ではその可能性が低いことが明らかになっている。

 


感想

政治力の強い企業は、それを利用してある程度好き勝手に振舞えるだろう、という直感からすれば、PCFの方が財務報告の質が低いという結果も大規模監査法人を選好するという結果も納得感があります。大規模監査法人をも政治力で押さえ込める位の政治力があればなおさらです。


一方で収用の話は面白かったです。ここに不正会計を減少させるヒントがありそうな気がします。具体的な手法は思いつきませんが。

 

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