「金利のある経済」と企業~「企業会計」2023年10月号~
- 佐藤篤
- 2023年10月27日
- 読了時間: 2分
国債金利がジリジリ上がり続けている今日この頃ですが、「企業会計」2023年10月号の連載”OUtSIDE”は『「金利のある経済」と企業』(前田昌孝)でした。
来週の日銀金融政策決定会合を前に、現況を把握すべく読んでみました。
日本の国債金利のおおまかな推移
日銀はイールドカーブコントロールの変動幅の上限を2022年12月20日に0.25%程度から0.5%程度へ引き上げ、2023年7月28日の会合では0.5%超えを容認するとともに、これ以上金利が上がらないように無制限に国債を買い入れる金利水準を1.0%に設定した。
財務省によると、10年物国債利回りの過去最低は2016年7月27日に記録したマイナス0.297%。マイナス金利を出したのは2020年5月下旬。2022年12月以降0.5%前後まで上昇する場面があったが、2023年3月10日に米シリコンバレーバンクが破綻した後は0.3〜0.4%台の推移となった。
コロナ後発行された社債利率の四半期毎の平均
(5年債)
2020年1~3月期から2021年10月~12月期までは0.19~0.29%で推移
その後上昇傾向となり、2023年1~3月期には0.75%になった
(10年債)
2020年1~3月期から2021年10月~12月期までは0.37~0.47%で推移
その後上昇傾向となり、2023年1~3月期には1.21%になった
金利上昇に対する企業の声
帝国データバンクのアンケート調査結果(期間は2013年1月10日から16日、有効回答は1,390社)
金利上昇が自社の事業に「プラスの影響が大きい」との回答割合は8.5%、「マイナスの影響の方が大きい」との回答割合は40.0%
(主なマイナス要因)
借入金の支払い利息が増える(56.5%)
利息が高くなり、資金調達しづらくなる(30.7%)
住宅ローンなどの返済負担が増えて消費が冷え込む(27.1%)
取引先の設備投資や状況が悪化する(25.7%)
(主なプラス要因)
輸入(原材料)価格の低下38.3%
円高方向での為替相場の安定28.4%
企業の資金調達動向
3年債や5年債の発行本数はさほど変化はないが、発行利率の上昇傾向が著しい10年債、20年債、30年債などは手控え傾向となっている。
今後は社債よりも銀行借入に頼る企業が増える可能性がある。
(理由)
長期(1年以上)の貸出に適用する銀行の新規貸出約定平均金利はさほど上昇していないこと
日銀の6月の全国企業短期経済観測調査によると、金融機関の貸出態度は「緩い」との回答が「厳しい」との回答を幅に上回っていること
感想
金利は上昇傾向でも、金融機関の貸出態度が厳格化していない以上、直ちに資金繰りに行き詰まる状況にはなさそうです。
金利上昇の悪影響は、寧ろ住宅ローンに出易いのかも知れない、と思っています。
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