ソフトウェア開発契約書のポイント~「企業会計」2025年12月号~
- 佐藤篤
- 2025年12月26日
- 読了時間: 4分
「企業会計」2025年12月号の連載「経理パーソンの仕事に役立つ法律知識」の第5回は「ソフトウェア開発契約書」(平木太生)でした。
ソフトウェア開発契約書
ソフトウェア開発を依頼する側を「ユーザ」、システム開発を受託する側を「ベンダ」などと呼ぶことが多い
ユーザがどういったソフトウェアを作りたいのかという要望を聞き出す段階を「要件定義」という
その後、実際に開発を行う段階、開発後にテスト・検収を行う段階という流れで進む
ソフトウェア開発は、その内容としての重要性、金額としての重要性、開発の複雑さから、契約途中で様々なトラブルが起こることが多く、時には裁判に発展することもあるため、契約書は特に重要となり、気をつけるべきポイントが多々存在する
基本契約と個別契約
ソフトウェア開発は要件定義、機能開発、テスト・検収といった大まかな流れのもと、より細かく、フェーズごとに作業内容、納期、金額と定めて進めることが多い
全ての契約書を詳細に作ることは非効率で、各契約書間で矛盾や変更が生じることにもなりかねないため、主要な条項は「基本契約書」で、フェーズごとの詳細な取り決めは「個別契約書」で作成することが多い
個別契約(以下、ウォーターフォール開発を前定)
ソフトウェア開発の重要な概念として、当該契約が「請負型」なのか「準委任型」なのかという区別がある
様々なフェーズに分かれるソフトウェア開発においては、当該プロジェクト全体を請負型か準委任型のいずれかに分類することは難しく、フェーズごとに判断する必要があるため、個別契約ごとに請負か準委任かを判断し明記する
仮に契約書上「準委任契約」と明記されていたとしても、裁判などになった際には、当事者の合理的な意思が何であったのかを特定し、民法上の請負契約であるとして扱われることがあるため注意が必要
再委託
ソフトウェア開発には相当な数の開発チームが必要になることが多く、受託会社が自社のエンジニアのみならず外部のパートナーや再委託先に業務を発注することが一般的
ユーザとしては、情報管理の観点から信頼に足る下請業者であるかを確認する必要があるため、受託者に対し、再委託先に対しても本契約と同等の責任を負わせることが望ましい
協働と役割分担に関する条項
ソフトウェア開発という長期的なプロジェクトにおいて、相互に協力することを確認するための条項
法的に何らかの義務や責任が生じる条項ではない
ソフトウェア開発以外の契約書ではあまり入れない条項
マルチベンダの調整等の責任
複数のメーカーの製品や複数のベンダに委託し、それらの成果物を組み合わせてシステムを構築することがあり、そのベンダのことや、構築するシステムそれ自体を「マルチベンダ」と呼ぶ
ベンダ間の機能の整合性や開発の進捗管理は、ソフトウェアを開発する上で非常に重要な役割を果たすが、誰がどのように管理をするかはあらかじめ決めておく必要があり、委託者がこれらの調整を行うことが一般的
契約不適合責任
売買や請負などの契約において、目的物が種類・品質・数量などについて契約内容に適合していない場合に、委託者が受託者に対して追求することができる責任
ソフトウェア開発において中核となる責任条項
民法に規定する契約不適合責任は任意規定なので、民法の規定よりも重くしたり軽くしたりすることができる
損害賠償
相手方に何らかの契約違反等があった場合に、補修等により対応させたい場合は契約不適合責任、金銭により賠償させたい時は損害賠償責任が生じる
どのような内容が定められているかによって請求できる(される)金額が異なってくるため、契約不適合責任と同様に重要な条項
賠償額の予定自体は民法420条1項により認められている条項で、上限があれば受託者としては安心して業務を遂行できるが、委託者としては受託者の責任で何らかの損害が生じたとしても全ての損害を補填することができないという点で、契約締結時に必ずチェックすべきポイントとなる
感想
当該解説はソフトウェア開発契約書の各要素を説明しているにすぎませんが、一読しただけで当該業務の大変さが想像できてしまいました。
また、数年前にITパスポート試験を受けたことがあるのですが、ウォーターフォール開発や請負と準委任の違い等、その時の記憶が蘇ってきて、懐かしい気分になりました。
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