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㈱オルツの事例をベースにした会計監査の限界論~「企業会計」2025年12月号~

  • 2025年12月19日
  • 読了時間: 3分

弊ブログでは何度か㈱オルツの不正会計事件を取り上げていますが、「企業会計」2025年12月号の特集『「悪の会計」を科学する』の中に「オルツ社が残した教訓-スタートアップの脆弱性と監査の限界」(渡邉拓己)という論考が掲載されていました。

 

当該論考の中で、会計監査の限界と課題に触れられていましたので、当該部分を取り上げたいと思います。

 

証憑突合について

  • 社会一般が考えるであろう監査の基本が証憑突合

  • 契約書、発注書、請求書、検収書等の証憑が形式的に整っていれば、会計記録が正しいと一応は推定される

  • しかし、経営者が意図的に不正を働く場合、取引の実態がどうであれ、監査人がどのような証憑を求めるかを熟知した上で、監査人が納得する完璧な書類を準備する。オルツ社が作成した実態があるかのような、虚偽の取引証憑書類はまさにその典型であった。

 

経営者による内部統制の無効化

  • 内部統制の整備・運用は経営者の責任である。にもかかわらず、経営者自らが内部統制を無効化させ、不正に関与する場合、監査人による不正の発見は極めて困難となる。

  • 特に循環取引では、証憑間の整合性が取れており、資金の流れまでも巧妙に偽装されることが多い。加えて複数の企業が関与し複雑な商流が形成されるため、不正が発覚した時には巨額に膨れ上がっていることも珍しくない。

  • 監査人は、企業の会計方針や収益認識プロセスの妥当性について、取引の経済合理性や経済的実態、必要性など基本に立ち返って評価する必要がある

 

経営者への質問手続

  • 経営者が語る壮大な事業計画や成長ストーリーに魅せられ、監査人としての職業的懐疑心が鈍ってしまう危険性は常に存在する

  • 経営者が大きな経営判断を下した時などには、監査人はその経緯や理由について、懐疑心を強く持ち、経営者へ質問することが不可欠である

 

技術の革新性とビジネスモデルの堅牢性を混同するリスク

  • オルツ社が提供していたサービスは、大規模言語モデルという革新的な技術を応用したものであったが、一方で市場には複数の競合が存在し、模倣可能性も高いSaaSビジネスの一類型に過ぎなかった。つまり技術的な新規性がビジネス上の圧倒的優位性を意味するわけではない。

  • むしろ技術が革新的であるからこそ、その収益化プロセスには未知のリスクが潜んでいるのではないかという職業的懐疑心を持つべき

 

感想

経営者の大言壮語に惑わされる、革新的技術に基づいたビジネスを適切に評価できないというのは「あるある」だなと感じ、苦笑しながら読みました。

経営者関与不正を検出することの困難さに係る記述も含め、会計士として同意できる内容でした。

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