小ネタ2本立て~㈱オルツの急速な展開、ガバナンスと自社株買いの効果~
- 佐藤篤
- 8月1日
- 読了時間: 2分
今週の火曜日(7月29日)に株式会社オルツ(以下「オルツ社」)の不適切会計に係るエントリーをアップしましたが、その後本日(8月1日)までに、スピーディー?な展開をみせています。
まず、2025年7月30日に東証が「上場廃止等の決定:㈱オルツ」をリリースしました(リンク)。
上場廃止日は2025年8月31日です。
そして同日にオルツ社が「民事再生手続開始申立てのお知らせ」をリリースしました(リンク)。
負債総額は約24億円とのことで、試しに2024年12月期の決算短信をみてみたところ、中身は主に長短借入金と未払金でした。
今更これといった感想もないのですが、「民事再生?」と思ったのは事実です。
オルツ社は民事再生手続関連情報(特設ページ)を設けたようなので、今後の展開はそこで確認できそうです。
「ガバナンスの質と自社株買いの効果」(伊藤桂一)と題された、企業が保有する現金の価値とガバナンスの関係に関する考察が「企業会計」2025年7月号に掲載されておりました。
以下、当該考察からのメモ書きです。
自社株買いの原資である現預金の市場価値は、コーポレートガバナンスの巧拙に強く影響を受け、特にガバナンスの悪い銘柄では現金の価値がディスカウントされている。
そのような現金で自社株買いを行うことは企業価値の改善につながると考えられ、実際に自社株買い公表後の株価パフォーマンスは、ガバナンススコアの低い銘柄の方が、スコアの高い銘柄よりもよい。
自社株買い公表後のパフォーマンスは、自社株買い規模の違いによっても大きく異なり、短期のパフォーマンスでは、ガバナンススコアの低い銘柄は自社株買い規模の影響は小さく、自社株買いの公表そのもののインパクトが大きい。
ガバナンスの良好な銘柄が小規模の自社株買いを公表した場合、公表後のパフォーマンスは芳しくないが、大規模な自社株買いを公表すればパフォーマンスは高くなる。
今までこのような視点で物事をみることがなかったので、面白く拝読しました。
ガバナンスの悪い会社は、余剰キャッシュでやたらと豪華な本社を作ったり、過大な役員報酬・退職慰労金を支払ったりと無駄に消費しがちなので、自社株買いで株価パフォーマンスが良くなるのは納得できるところです。
「うちは株主軽視だ」と自負している経営者で、自社の株価に不満な場合、小規模でも自社株買いを公表してみるのは一つの良い方法かも知れません(笑)
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