JICPA南会長の目指す「魅力ある監査業務」、㈱オルツに係る会計監査の問題点~「企業会計」2025年11月号~
- 佐藤篤
- 2025年11月25日
- 読了時間: 3分
今回のエントリーは「企業会計」2025年11月号から2本取り上げます。
巻頭記事”Scope Eye”は日本公認会計士協会の南成人会長のステートメントでした。
私世代の会計士にとっては監査論の南先生という印象が強く、JICPA会長に就任されたことは、ある種の驚きがあったのと同時に、時の流れを感じさせる出来事でもありました。
その南会長は当該ステートメントの中で『「魅力ある監査業務」の実現』に取り組むという意向を示されていました。
以下、その概要です。
魅力ある業界の実現には、一丁目一番地の監査の魅力を取り戻し、多くの優秀な人材が監査に携わり、監査品質も一層向上するという好循環を生み出す必要がある
監査現場では、長時間労働や煩雑な手続などによる疲弊の声も聞かれ、その解消は喫緊の課題である
一例として、総会日程の後ろ倒し、会社法と金融商品取引法の開示・監査の一元化を推薦していくための議論に積極的に参画する
監査のDXやアシスタント活用の促進に取り組む
リスクアプローチの観点から監査手続の絞り込みを行い、高度な判断や案件に注力することで監査のやりがいを高めるとともに、より質の高い監査の提供を可能とする
感想
少し前に、お子さんが会計士試験をパスして監査法人に勤め出した方が「監査法人てブラックですね」と仰っていたことを思い出しました。
受験者数も増えたし、随分マシになったものとばかり思っていたのですが、相変わらずのようです。
南会長の仰っていることはその通りで、あとは限られた任期の中でどれだけ実現できるかの勝負だと思いますので、是非頑張っていただきたいものです。
連載「三角波」は「新興IT企業の会計不正から何を学ぶか」で、㈱オルツ(以下「オルツ」)に係る会計監査の問題点を取り上げていました。
オルツの循環取引の概要
「スーパーパートナー(SP)」と呼ばれる複数の販売店を通じ、AIによる議事録作成のサービスをエンドユーザーに展開していた
オルツは、広告代理店や研究開発業者に対して、広告や研究の実態がほとんどないにもかかわらず資金を支出し、広告代理店や研究開発業者がSPに対して資金を還流させて架空の売上を計上していた
会計監査の問題点
売上の9割が架空であったことから、SPに振り込まれた金額の9割はエンドユーザーではなく広告代理店や研究開発業者からであったことになる。SPへの入金がエンドユーザーから行われていたものかを、監査法人が確認すべきではなかったか。
前任監査法人から「期末監査時に広告宣伝の取引先とAI議事録サービスの販売先とが同一グループ内の会社であることが判明し、その広告宣伝費と売上高とがほぼ同額の増加推移を示していることから、循環取引の疑念が生じた」と指摘されていたにも関わらず、現任監査法人はオルツからの虚偽の説明を受けて、決算数値に疑念を抱かなかったとされる
感想
SPへの入金がエンドユーザーから行われていたかのチェックを会計監査の範囲で実施できたかどうか定かではありませんが、ユーザーアカウントの実在性や利用状況の確認はすべきだったろうと思います。
まあ、所詮は後出しじゃんけん的意見に過ぎませんが。
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