JICPAによる循環取引に係る注意喚起のリーフレット
- 佐藤篤
- 2022年9月23日
- 読了時間: 2分
2022年9月15日に日本公認会計士協会(以下「JICPA」)が「循環取引に関する当協会の取り組みについて(お知らせ)」をリリースしておりました。
これは2022年8月に証券取引等監視委員会から公表された「開示検査事例集(令和3事業年度)」で新たな掲載事例の一つに循環取引の事例が紹介されたことを受けて、JICPAとして対応した、ということのようです。
当該リリースでは各監査法人の通報窓口(監査ホットライン)の紹介の他、循環取引に係る注意喚起のリーフレットが掲載されています(リンク)。
このリーフレットをざっと眺めてみたのですが、循環取引に係る説明がわかりやすくまとまっています。
以下、当該リーフレットの一部を紹介します。
循環取引の具体的な取引形態
スルー取引
自社が受けた注文について、物理的・機能的に付加価値の増加を伴わず他社へそのまま回し、帳簿上通過するだけの取引。
Uターン取引(まわし取引)
商品・製品等が、最終的に起点となった企業に戻ってくる取引。
クロス取引(バーター取引)
複数の企業が互いに通常の価格より高い価格水準にて商品・製品等を販売し合い、在庫を保有し合う、又はある企業が在庫を保有せずに他の複数の企業に対し相互にスルーする取引。
循環取引の特徴
取引先は実在することが多い。
資金決済は実際に行われることが多い。
会計記録や商標の偽造または在庫等の保有資産の偽装が行われることが多い。
上記の他、循環取引等の不正会計が発覚した場合の罰則、監査人は循環取引に注意を払っている旨の記載、具体的な取引事例の紹介で構成されています。
感想
リーフレットという性質上、網羅性や厳密性が十分でないのは当然ですが、わかりやすくまとまっているという意味では、よく出来ているなと感じました。
一方でこういったリリースをJICPAが出すということ自体、不正会計における循環取引の有効性を暗に示していることになりやしないかと危惧します。
実際問題として循環取引による不正会計がいつまで経ってもなくならないのは、会計監査において発見することが困難であることの証拠です。
やぶ蛇にならないといいのですが。
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