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なぜ、複式簿記はここまで繁栄したのか?~「企業会計」2025年5月号~

  • 佐藤篤
  • 5月30日
  • 読了時間: 2分

昔、時代劇をみた時、雨のシーンで人々がさしていた傘は、デザイン的に現在と変わりがないようにみえました。素材だけが進化した印象です。

同じことが桶とバケツにもいえるし、もっと最近のツールでいえば、ママチャリも私が幼かった頃から形は変わっていません。

 

これらは、実用性の観点から完成されたデザインは時代を経ても変わらないし、変える必要もないということを意味するのでしょうが、何故こんなことを前置きしているかというと、「企業会計」2025年5月号に「なぜ、複式簿記はここまで繁栄したのか?」(木村太一)と題されたコラムが掲載されていたからです。

 

複式簿記も長年世界中で使われてきて、今のところその立場を脅かしそうなメソッドも見当たりません。

自分でもその要因を考えてみたのですが、シンプルで習得難易度が比較的低いこと、検証し易いこと位しか思い付かず、興味をもって当該コラムを読んでみました。

 

複式簿記の歴史

  • ルカ・パチオリの「スンマ」が出版された1494年には、すでに相当程度体系化されていたと考えられ、そのことはつまり、約500~600年程その姿を変えていないことを意味する

 

複式簿記の特徴

  • 取引で生じた2つの財(例えば現金とバット)の増減が、仕訳という一つの記録の中で結びつけられる

  • 取引ごとに利益を把握することが可能になるので、どの取引がより利益をもたらすのか即時かつ正確に認識することができ、同時に利益の予想と実際との乖離を取引ごとに把握することもできるため、環境(需要)変化への対応が迅速に行える

 

中国簿記との競合

中国には19世紀中葉に西洋式の複式簿記がもたらされ、最終的には中国固有の簿記法は、以下の要因により、淘汰された

  • より明瞭で厳格な記録の規則を持っていること

  • 帳簿内部での誤謬の検出力に優れていること

  • 均衡という考え方がより徹底していること

  • 上記の性質を持つ記録法が経済的な環境に適応していたこと

 

感想

約500〜600年その姿・形を変えていないというのは想像以上でした。

また、中国簿記との比較を読んでいて思ったのは、結果的にではあるにせよ、ITとの親和性も兼ね備えていたのだなあということです。ITによって複式簿記の知識がない人でも仕訳エントリーが可能となり、利用可能者が激増しています。


少し前に財務会計の存在意義の低下に係るエントリーをアップしましたが、財務会計は無くなっても複式簿記は今後も生き続けるのだろうな、と思います。

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