書評『世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由』を読んで
- 佐藤篤
- 2020年9月10日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年7月8日
ビジネス書といわれるジャンルの本には、経営者自身が書いた成功譚は多く存在しますが、失敗事例を扱った本は多くはないように感じられます。
所謂”成功者”は自分の人生を書物等の形で後世へ残したいと思う一方、うまく行かなかった人は自らの失敗を本にしようとは思わないだろうからです。
一方で、私のような一般人からすれば、成功事例よりも失敗事例の方が参考になります。
なぜなら、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言われるように、成功には運の要素が強く働きますが、自身の成功に占める運の要素を適切に評価出来ている著書は少ないように感じられるからです。これは成功者自身以外の筆者による本であっても、本人へのインタビューを基に執筆されている等、実質的に成功者自身により執筆されたと認められる著書でも同じことです。
それに対して失敗事例は、自分自身の事を振り返ってみても、油断が原因だったり、自分に都合の良いように物事を判断したりといった、避けられた失敗も多いように感じられます。もちろん、避けようのない不運による失敗というものも世の中に存在することは重々承知していますが。
そんな訳で、ふと立ち寄った書店で目に留まった『世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由』(荒木博行著、日経BP)を読んでみました。
内容はそごう、コダック、エンロン等有名な大規模倒産事例の経緯と、著者である荒木さんによる原因の分析、そこから得られる教訓で構成されています。
創業から倒産に至る経緯、倒産の原因と教訓共に簡潔且つ無駄なくまとめられており、スラスラ読むことができます。
また、事例毎に著者が参考とされた文献が紹介されており、特定の事例を深堀したくなった場合にも有用です。
一方で、この本から得られる教訓がとても多いが故に、その全てに予め対処することは、現実問題として難しいとも感じました。そこを目指すと身動き取れなくなってしまうというか、そもそも経営なんて出来なくなってしまう気がします。
だからといってこの本に価値がないということではなく、各人の置かれた立場や思考のクセに応じて、早急に手を打つべき事項、常日頃から気にかけておくべき事項を取捨選択する際の参考書的な利用法がいいのではないかと思います。
気になった方は一読されることをお勧めします。
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