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「コンダクト・リスク」の管理が大切な時代~「会計・監査ジャーナル」2025年4月号~

  • 佐藤篤
  • 12 分前
  • 読了時間: 3分

「会計・監査ジャーナル」2025年4月号の連載「アカデミック・フォーサイト」は「公認会計士・監査法人も理解しておくことが求められる、企業経営にとって重要なコンタクト・リスクとは」(遠藤元一)でした。

 

正直言って、当該論考を読むまでは「コンタクト・リスク」という言葉に耳馴染みがありませんでした。

そんなこともあって、興味を持って読んでみました。

 

コンタクト・リスク

  • 最近の不正・不祥事事案で注目されるのは、法令遵守に焦点を当てた狭義のコンプライアンス概念では捉えきれない不祥事事案が増加していること

  • 様々なステークホルダーや社会の信頼・期待に適合しない行動(ミスコンダクト)を取る故に企業価値が毀損しかねない不祥事事案に対処することは企業経営にとって喫緊の課題

  • 企業が自社に生じうるコンダクト・リスクをコントロールする仕組みをどのように構築し、運用しているかを注視することは、公認会計士・監査法人にとっても重要な課題である

 

2018年に金融庁が公表した「コンプライアンス・リスク管理に関する検査・監督の考え方と進め方(コンプライアンス・リスク管理基本方針)」におけるコンタクト・リスクの定義

  • 規律が法令として整備されていないものの、①社会規範に悖る行為、⓶商慣習や市場慣行に反する行為、③利用者の視点の欠如した行為等につながり、大きな企業価値の毀損を引き起こす可能性のあるリスク、と整理している

  • 2023年に公表した「オペレーショナル・レジリエンス確保に向けた基本的な考え方」では、コンダクト・リスクの具体例として、相場操縦、利益相反行為、インサイダー取引、顧客説明義務違反、適合性原則違反を挙げている

  • 上記は金融機関に関する内容だが、当然、通常の事業会社にもコンダクト・リスクやミスコンダクトは生じうる

  • 狭義の法令違反でない場合であっても、企業が著しく信用が毀損する窮境の事態に陥った場合、適切に対処しなかったことを取締役の任務懈怠として損害賠償責任を認める裁判例や、企業の信用毀損による損害を適切に対処しなかった取締役の任務懈怠責任による損害として認める裁判例が登場している

 

コンダクト・リスク管理に係る枠組み・管理体制

  • 求められるのは、後追いでなされる法の改正や新たな法の制定を待つのではなく、企業が自発的に自らを規律して不正を防止する行動と、それを制度的に担保する管理体制の構築である

(構築の流れ)

  1. 自社のコンダクト・リスクを定義する

  2. 洗い出しを行う

  3. 洗い出されたコンダクト・リスクをその発生可能性と影響度の指標をもとに分析・評価する

  4. リスク対応戦略(受容・回避・移転・低減)を決定する

  5. コンタクト・リスクの変容を迅速に把握し、管理体制を高度化する

  6. 企業のすべての階層の役職員がリスク情報を共有するためのコミュニケーション(心理的安全性の確保を含む)を図る

  7. 経営トップによる継続的なメッセージの発信や階層別の定期的な研修等で行動規範を浸透させる組織的対応も必要

 

感想

ビジネスに限らず、人間が関わる場面では、世界中のあらゆる所で、何らかの意図を持ってコンダクト・リスクをテイクする行為がなされている訳で、有名人の不倫騒動もその一種なのかも知れないな、と思う今日この頃です。


それはともかく、ここ数年、今回のコンダクト・リスクに関連して、「人を雇うリスク」を実感させられる出来事を多く目にするようになりました。

正確には、SNS等により可視化される機会が増えただけなのでしょうが。


少し前に視た動画が、将来的には、3割の選ばれし人達だけが仕事に従事して、残り7割はベーシックインカムを貰って生活していくようになるという内容だったですが、あながち突拍子もない話ではないのかも知れません。

 

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