パワハラと監査の関係~「会計・監査ジャーナル」2025年4月号~
- 佐藤篤
- 5月13日
- 読了時間: 3分
「会計・監査ジャーナル」2025年4月号の連載「公認不正検査士の不正調査手法」は「ハラスメントと不祥事の根深い関係ー第1回ーなぜハラスメントが監査と関係があるのか」(野村彩)でした。
個人的には、会計監査の計画・実施においてハラスメントを気に掛ける場面は、一部の例外を除いて、あまりないと思い込んでいるので、興味を持って読んでみました。
当該論考の目的について、以下のように記載されています
(前略)そもそも、なぜハラスメントが組織にとって脅威であるのか、また、ハラスメントと不祥事の根深い関係について述べることで、監査においてもハラスメント事象の把握が重要である実情を解説したい。
以下、当該論考のメモ書きです。
「パワーハラスメント」の特徴
「パワーハラスメント」は、特に、無理な営業目標や無理な品質基準に、無理な納期と合わせられることで不正に手を染めるリスクを爆発的に増大させる
不正のトライアングル理論(「動機・機会・正当化」の3要素が揃うことで不正が起きやすくなるという理論)から見て、「パワーハラスメント」は、3要素の一つである「動機」に大きく関係する。粉飾会計や品質偽装などの不正行為では、無理な目標とパワーハラスメントが有力な動機となりうる。
「パワーハラスメント」は、「正当化」にも繋がる点でタチが悪い
パワーハラスメントを受けた人は、やがて自らもパワーハラスメントを行うようになる傾向が強く、組織に次第に増殖していくという特徴がある
フォルクスワーゲン社の「ディーゼルゲート事件」
当時のCEOであったマルティン・ヴィンターコルンは、部下に言わせると不機嫌で圧迫的な存在であった
ヴィンターコルンのそのような指導法は、彼の元上司である、同社の元会長でCEO、筆頭株主のフェルディナンド・ピエヒから来たものであると言われる
ピエヒの管理手法も彼の祖父であるフェルディナンド・ポルシェから教わったものであり、そのフェルディナンド・ポルシェも、「実証済みの管理テクニックとして不安と脅しが使われていた時代」の寵児であったヘンリー・フォードの影響を受けていた
感想
割と当たり前のことが書かれていたな、と感じました。
パワハラの連鎖は様々な企業でみられる現象で、最近話題になっている某有名大企業辺りが真っ先に思いつくところです。
今のように、至る所で人手不足が起きている時代には、パワハラは鳴りを潜めがちですが、一方で特定の条件下では「不安と脅し」を用いる管理テクニックも効果的なのだろうと感じています。
そういった意味では、景気が悪くなって就職・転職が難しくなると、またパワハラが息を吹き返してくるだろうという暗い想像をしています。
Comentários