「ウクライナをめぐる現下の国際情勢を踏まえた監査上の対応について」を一読しました
- 佐藤篤
- 2022年4月19日
- 読了時間: 2分
2022年4月7日に日本公認会計士協会から「2022年3月期監査上の留意事項(ウクライナをめぐる現下の国際情勢を踏まえた監査上の対応について)」がリリースされておりました。
一読したところでは、ごく常識的な事項が記載されたリリースという印象ですが、一部見逃せない記載もありました。
以下、それぞれについて触れていきます。
まず常識的な記載としては、
経営者及び監査役とウクライナ情勢に関してのコミュニケーションを取る
リスク評価の見直しの必要性を検討する
会計上の見積りに及ぼす影響を検討する
独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項への影響を検討する
といったところでしょうか。
恐らく、これらの事項については当該リリースが出る前から検討している会計監査人も多いと思われます。
一方で見逃せない記載と感じたのはグループ監査に係る部分です。
現地子会社等に関連して、十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった場合には、グループ財務諸表の監査意見に与える影響を評価しなければならないと明記されています。
そして、十分かつ適切な監査証拠を入手できない状況として、以下の四つが列挙されています。
銀行、顧客等からの確認状の回収が困難になること。
保有する在庫の実地棚卸の立会が実施不能となること。
現地子会社等の内部統制の整備、運用評価が完了できないこと(財務諸表監査、内部統制監査)。
現地子会社等の決算を完了することができないこと。
これらの事態が発生する可能性は十分にあり、ロシア・ウクライナ地域の現地子会社等に重要性がある企業及びその会計監査人は留意が必要です。
ただ、幸か不幸かCovid-19パンデミックで上記と近い状況を経験していますので、リモート監査に関する留意事項等が大いに参考になるものと思われます。
その他、当該リリースでは経営者確認書への記載例やその他の記載内容に関する対応等が記載されています。
以上が当該リリースの概要でした。
最後に、被監査会社自体にはウクライナ情勢の影響がない場合でも、取引先に影響があり、結果として債権評価や事業計画の見直しが必要になることもあり得ます。
全部で6ページ程度のボリュームですので、早目に一読しておくことをお勧めします。
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