ROICの現在
- 佐藤篤
- 2023年1月20日
- 読了時間: 2分
先日のテレ東モープラFTでROICを取り上げておりました。
私が会計士試験で経営学を勉強していた頃の経営指標はROEやROAが主流で、ROICの概念は存在していたのかもしれませんが、聞いたこともありませんでした。
それが今やROICが主流の経営指標になっているとのことです。
以下、その特集内容の一部メモ書きです。
ROICが主流となった理由
経営指標として、企業は売上高・増収率を重視している一方、投資家はROIC、資本コストを重視するという調査結果がある。
各企業が中期経営計画で掲げる指標別株価上昇率ではROICが一番高く、純利益や経常利益といった絶対値指標は低い。絶対値指標は投資利益率が低い事業へ投資しても上昇させることが出来るため、投資家には好まれない。
ROEは借金を増やす事によって数値を良化させることができるが、ROICはそうはいかないため、企業側が操作し辛い指標と評価されている。
ROICの活用方法
ROICツリー(オムロン㈱の事例を紹介)
ポートフォリオ管理。事業別に算出することで、経営上の意思決定判断材料とする。
ROIC活用の本気度を見る上でのポイント
中期経営計画で注力指標にしているか
人事評価に使われているか(㈱村田製作所の取締役報酬の決定方針について紹介)
低ROIC事業への向き合い方
ROICによる経営改善事例
㈱セブン&アイ・ホールディングスについて解説されていた。以前は事業の多角化・積極出店指向だったが、その結果不採算店舗が増加した。新経営計画では収益性の高いコンビニ事業、海外事業に集中する方針を示した。
ROICの向き不向き
多角化している大企業向きだが、様々な業種に適用可能な指標である。
感想
ROICがROEの補完として考えられた指標だということはよく理解できました。
確かに借入して自社株買いや配当すれば、ROEを向上させることができます。
逆の言い方をすると、自社株買いの実施や配当の増額を要求する手段としてROEは投資家に利用されやすい指標だと言えそうです。
一方で、当該特集ではROICの欠点に触れてないなぁとも思いました。
以下、ネットで検索してみたROICの欠点らしきものです。
不採算事業からの撤退により縮小均衡に陥る。
新規投資に慎重になりがち。
成長期の企業はどうしても投資が先行するため、利益が少ないかそもそも赤字の場合も多く、ROICが馴染まない。
衰退期の企業は財務の健全性を評価すべきでROICは馴染まない。
ROICも万能な指標ではないことは明白で、その欠点を補うような別の指標と組み合わせるのが良いのかもしれません。
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