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2025年6月の有報早期開示に係る実務事例~「企業会計」2025年10月号~

  • 佐藤篤
  • 10月28日
  • 読了時間: 2分

「企業会計」2025年10月号の特別企画は「有報の早期開示をどう考えるか?」でした。

当該企画は複数の記事で構成されておりまして、その中には企業の実務担当者による2025年6月の有報開示実務に関する寄稿もいくつかありました。

その中から個人的に面白かった部分を取り上げます。

 

取締役会スケジュール

  • 多くの会社では有価証券報告書の提出に取締役会の決議が必要

  • 取締役会の年間スケジュールがすでに決まった後に有価証券報告書の総会前開示の要請がなされたため、有報早期開示のためだけの取締役会を新たにスケジュールすることが課題の一つとして挙げられた(特に社外取締役の日程確保)

  • 日鉄ソリューションズ㈱では株主総会のリハーサルで取締役全員の日程を確保していたため、当該日に臨時取締役会を開催することで対応できた

 

議決権基準日を決算日から1ヶ月後ろ倒しにした事例

  • ㈱ソラコムの決算日は3月31日だが、議決権基準日を4月30日へ変更した

  • 2025年6月の定時株主総会において議決権基準日に係る定款変更を提案し可決された

  • 株主名簿管理にかかる信託銀行等の保管手数料の問題

    • 期末・中間配当などの名簿締切ごとに発生し、累積的に費用負担が増す構造となっている

    • 事業報告書に関しては、有価証券報告書作成要領第4号様式により、定時株主総会の基準日時点の株式関連情報を記載すれば良いとされている一方、半期報告書作成要領では、大株主の状況及び議決権の状況を中間会計期間末日時点で記載する必要があり、そのためだけに株主名簿を確定させる必要がある

    • 係る制度上の非対称性に対応するため、定款上の配当基準日を総会議決権基準日である4月末に統一しつつ、中間配当の基準日は従来通り9月末とする方針を取っている(ただし、㈱ソラコムは配当を実施していない)

 

感想

取締役会スケジュールについては、かなり苦労された会社が多かったのでは?と推察します。

 

議決権基準日の後ろ倒しについては、㈱ソラコムの他もう1社㈱アドバンテスト(3月末決算)も定款変更済で、こちらは議決権基準日を5月15日とした一方、期末配当基準日は3月31日のままとしています(ホームページで確認しました)。

今後、議決権基準日後ろ倒しの動きが徐々に拡大していくにつれ、議決権基準日と期末配当基準日が一致する会社としない会社が混在することになるかも知れず、少し気に留めておく必要がありそうです。

 

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