新リース基準(案)が貸借対照表へ及ぼす影響に注意~「企業会計」2023年9月号~
- 佐藤篤
- 2023年10月6日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2023年9月号の特集は「今から始める!新リース基準(案)適用への準備対応」でした。
その特集中の「財務諸表・経営指標への影響」(渡邊昌平)から、今回の新リース基準(案)の特徴である貸借対照表への影響を取り上げます。
損益計算書とキャッシュ・フロー計算書、経営指標への影響については、賃貸借処理からオンバランス処理へ変更した場合の影響と大差ないので、ここでは取り上げません。
1.賃貸物件が重要な事業用資産として計上される
使用権資産の計上額は原資産自体の再調達原価や使用価値に基づいて算定されるわけではなく、原資産を使用するリース期間における支払リース料に基づいて算定される。全国へ店舗展開して事業を行っているような企業の場合は、使用権資産が多額に計上されることとなる。
2.解約可能なリース期間に係るリース料であってもリース負債として計上される
解約可能な契約期間であっても、解約しないことが合理的に確実な場合にはリース期間に含まれることとなるため、解約可能な契約期間に係るリース料であっても、リース負債として貸借対照表に計上されることがある。
解約しないことが合理的に確実であるかどうかは、解約しないことに対して経済的インセンティブがあるか否かによって決定する。
リース期間には、延長することが合理的に確実な期間もリース期間に含まれるため、契約期間を延長することが可能な場合には、上記と同様に経済的インセンティブの有無によって延長可能期間をリース期間に含めるか否かを判定する必要がある。
3、支払リース料以外の支出も使用権資産として計上される
借地権の設定にかかる権利金等は使用権資産の取得原価に含めて計上する。
資産除去債務を計上する必要がある場合は、同額を当該使用権資産の帳簿価額に加える。
リース開始日までに支払った付随費用は、使用権資産に加算する。
尚、新リース基準自体はまだ確定しておりませんが、上記については変更される可能性は低いと考えています。
多くの賃貸物件を用いて事業を行っている企業におかれましては、今から影響度の検討を始めておくことをお勧めします。
コメント