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リース会計の改正論点~借手企業に与える影響~「企業会計」2021年11月号

  • 佐藤篤
  • 2021年12月10日
  • 読了時間: 2分

更新日:2022年6月26日

前エントリーに引き続き、「企業会計」2021年11月号上で特集されていた「新たなリース会計基準5つの論点」に係るエントリーです。今回は当該特集内の一記事「新リース基準が借手企業に与える影響」(以下「当記事」)を取り上げます。


当記事は、オペレーティングリースがオフバランスである日本と、新リース基準適用によりオペレーティングリースが使用権資産としてオンバランスされたEU/UK、米国における空運業、海運業、小売業を対象とし、新リース基準を適用した場合の借手企業への影響を分析するという内容です。

空運業、海運業、小売業を対象にしているのは、オペレーティングリースをオンバランスする影響が他業種と比較して大きいと推測されるためとのことです。


分析結果の概要は以下の通りです。

  • 新リース基準適用後の EU/UK と米国のデット・エクイティ・レシオは、同時期の日本のそれと比べて大きく数値が変動している。

  • ある格付会社においては有利子負債対EBITDA倍率が2倍前後であるかどうかで財務プロフィールが強いか中位にあるかの分水嶺となる。この点、EU/UKの航空会社2社について、新リース基準が適用された2019年に格下げが行われたが、この2社は2019年に有利子負債対EBITDA倍率が2倍を超えたことから、新リース基準の適用が影響して格下げされたものと推測される。

  • EU/UKと米国では新リース基準適用により【総資産-現金・現金同等物】に占める使用権資産の割合が10%未満から20%程度まで跳ね上がっている。

  • EU/UK では新リース基準適用に伴いリースの利用そのものの減少も確認できる。


感想

オペレーティングリースのオンバランス化が 空運業、海運業、小売業へ及ぼす影響は想像以上に大きいと感じました。

特に格付けにまで波及するというのは、借手企業としては、とんだとばっちり食った気分でしょう。格付け会社は新リース基準適用前もオペレーティングリースの未経過リース料注記でオフバランスされている債務は把握できる状況にあった訳ですから尚更です。

また、リース自体の利用が減少するのも直感に反しない結果です。日本でもリース基準改正へのリース業界の抵抗が強いという話が聞こえて来ますが、それも当然と感じます。

とはいえリース基準改正は既定路線ですので、リースの利用の多い企業は今のうちから対策を講じておく必要がありそうです。

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