インパクト加重会計とは~「企業会計」2024年5月号~
- 佐藤篤
- 2024年6月25日
- 読了時間: 3分
「企業会計」2024年5月号に掲載されている「インパクト加重会計の可能性」(岡本紀明)
を読んでみました。
一読した印象では、インパクト加重会計なるものが財務会計に早急に取り入れられる可能性は低そうですが、このような動きがあるということは知っておいて損はないように思いました。
当該記事では、インパクト加重会計の課題や今後の展望についても触れられていますが、その部分は割愛して、インパクト加重会計がどのようなものなのかの解説部分のみメモ書きとして取り上げます。
2023年6月末に金融庁が公表した「インパクト投資等に関する検討会報告書ー社会・環境課題の解決を通じた成長と持続性向上に向けてー」は、参考にすべき国内外の動向として「企業会計・開示におけるインパクト投資の加味」を掲げた。
その背景には、従来の会計の枠組みでは企業活動の社会的インパクトを十分に捉えきれていないという課題がある。
インパクト加重会計とは社会的インパクトを定量的に把握し、貨幣価値に換算しようとするもの。
インパクト加重会計といった場合、ハーバードビジネススクール(HBS)において進められているImpact-Weighted Accounts Initiative(IWAI)に関するプロジェクトを指すことが一般的。
HBSではインパクト加重会計を「損益計算書や貸借対照表などの財務諸表に記載される項目で、従業員、顧客、環境、より広い社会に対する企業の正と負のインパクトを反映させることにより、財務の健全性と業績を補足するために追加されるものである」と定義している。
IWAIはインパクトの対象範囲として大きく分けて、環境・雇用・製品を現段階での射程に入れている。
製品におけるインパクト加重の例
例えば大手自動車製造企業であれば、顧客の入手可能性という観点からすると、ハイブランドの高価な自動車製品はポジティブなインパクトもネガティブなインパクトもカウントされない。
一方で、発展途上国では一般的に公共交通機関が未発達なため、先進国に比べて自動車の普及が生活レベル向上へ寄与する割合が高くなることから、発展途上国への売上割合が高い自動車製造企業は、そうでない同業他社に比べて、多くのインパクト加算がなされる。
感想
考え方としては面白いですが、実現にはまだまだ超えるべきハードルは多そうだなという印象です。
実はいろいろ思考シミュレーションしまして、その過程を一旦はここに記載したのですが、ディストピアになってしまったのでカットしました。
良かれと思って行ったことが多くの人を不幸にしてしまうことは往々にしてあるので、少し大げさですが、インパクト加重会計がそうならないことを期待するばかりです。
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