金商法開示と不公正取引規制に関する今後の方向性~「企業会計」2026年4月号~
- 6月30日
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「企業会計」2026年4月号の「相談室Q&A会社法務」は「企業情報開示制度・不公正取引規制に係る改正指針」(2025年DWG・市場制度WG報告)(橘川文哉)でした。
当該解説の前提として以下の2報告が2025年12月26日に金融庁から公表されています。
金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告
金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」報告
それを受けて両者の内容及び法令・実務に与える影響が解説されています。
以下メモ書きです。
金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告
発行価額の総額が1億円未満という基準を満たす場合には、有価証券届出書の提出義務が免除されるが、この提出免除基準を5億円未満に引き上げることが提言された
少額募集制度(通常の株式に比して簡易な株式による有価証券届出書の提出を可能とする制度)を利用できる発行価額の総額を、現行法上の5億円未満から、10億円未満に引き上げることが提言された
特定投資家私募(特定投資家を相手方とする有価証券の勧誘であって、金融商品取引業者が関与し、かつ、特定投資家等以外の者への譲渡が制限されている場合における私募)に際しては、特定証券情報の提供または公表が必要とされているが、有価証券届出書の提出は不要とされている。この特定投資家私募の相手方の範囲に潜在的特定投資家(特定投資家要件を満たし、高い情報分析能力を有するものの、特定投資家への移行手続を行っていない者)を追加することが提言された
現行法上、企業が自社・子会社の役員・使用人に株式報酬として株式・新株予約権を交付する際に行う勧誘行為(以下「本勧誘行為」)については、金融商品取引法上の「募集」に該当するものの、一定の要件のもと、有価証券届出書の提出義務を免除する特例措置が設けられているが、上場株式等に限定されている。この点、本勧誘行為についてはそもそも「募集」に該当しないものとして位置付けを改め、上場・非上場問わず、有価証券届出書の提出を不要とすることが提言された。
近年、有価証券報告書の非財務情報の開示の拡充・充実がはかられているが、企業が、事後的に金融商品取引法上の虚偽記載等の責任を問われることを恐れ、積極的な情報開示を避けることが懸念されている。その対策として、合理性が確保されていると認められる一定の場合に、①将来情報、②見積り情報及び③統制の及ばない第三者から取得した情報について、虚偽記載等に対する金融商品取引法上の民事責任及び行政責任(課徴金)を負わないとするセーフハーバー・ルールを導入することが提言された
金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」報告
公開買付者等の内部情報(公開買付等事実)を知り得る特定の立場にある者の範囲に公開買付け等の対象企業(以下「発行者」)の役員等に加え、発行者の親会社の役員と、ならびに発行者(その親会社を含む)の会計帳簿閲覧請求権者、法令に基づく権限を有する者、および契約締結者・交渉者についても追加することが提言された
現行のインサイダー取引規制上、「親会社」の定義は直近の有価証券報告書等に「親会社」として記載された会社とされているが、この「親会社」を(有価証券報告書等の記載に依拠せず)「他の会社の意思決定機関を支配している会社」とすることが提言された
公開買付者等関係者によるインサイダー取引に係る課徴金の水準について、現行の公開買付け等事実の公表後2週間における最大の価格から、近似の事例を踏まえた公開買付けのプレミアム分(例えば、公表前の価格の50%増し等)を考慮した水準に引き上げることが提言された
大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載に係る課徴金の水準について、近似の事例を踏まえた価格変動分(例えば、提出後2週間における市場価格への影響(7%)等)を考慮した水準に引き上げることが提言された
現行法における課徴金減算制度は、違反者が調査開始前に違反行為を報告した場合に課徴金の額を50%減額する制度だが、調査開始後における協力度合いに応じて減算する制度を導入することが提言された
感想
虚偽記載等に対するセーフハーバー・ルールは会計士としても気になるところです。
市場制度関連については、提言内容から近時どのような不公正取引が行われてきたのかが見えてくる訳ですが、特に大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載については、「なるほどなあ」と悪い意味で感心させられました。
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