資本的支出と修繕費の税務事例~「会計監査ジャーナル」2023年5月号~
- 佐藤篤
- 2023年5月19日
- 読了時間: 2分
「会計監査ジャーナル」2023年5月号の租税相談Q&Aは「資本的支出と修繕費の税務事例」でした。
内容は4つのQ&Aから構成されているのですが、そのうち2つを取り上げます。
Qだけを見て、まず自分で予想をしてみて、その後答え合わせという形でまとめました。
(Q1)
社屋が建築から25年を経過し、アルミサッシが経年劣化により腐食してきたため、断熱性がアルミサッシの約4倍ある高性能の樹脂フレーム複層ガラス製サッシに取り替えた。
高性能アルミサッシの価額3000万円
従前と同程度の品質のアルミサッシの価額2000万円
工事費はどちらを取り付けても2000万円で同
(予想)
腐食が原因で交換しているので、従前と同程度の品質のアルミサッシへの交換であれば全額修繕費として処理できるが、高性能化見合いの価額1000万円(=3000万円-2000万円)は資本的支出になる。
(解答)
私の予想通りでOKと考えられる、との解答でした。
根拠は法人税基本通達7-8-1(資本的支出の例示)(3)で、以下の様に規定されています。
機械の部分品を特に品質又は性能の高いものと取り替えた場合には、その取替えに要する費用のうち通常の取り替えの場合に要すると認められる費用については修繕費とし、その費用の額を超える部分の金額は資本的支出として取り扱うものとされている。
この取り扱いは機械の部分品に関する規定ですが、建物等の場合も同様とのことです。
(Q2)
飲食店の事例。消防署の立ち入り検査の指導により、消火、排煙、災害報知設備等の改修工事を行った費用。行政指導に基づく改修工事費用なので、全額修繕費として処理して差し支えないか。
(予想)
現状で問題なく営業できているため、改修工事に修繕的要素(機能維持、原状回復)はなく、行政指導だからという理由だけで修繕費にはできない。
(解答)
改修工事の内容により、資本的支出となるか修繕費として処理できるかを判断することになる。
行政指導によりこれまで法的、物理的に不都合なく使用できていた資産が、使用不可能となり、あるいは機能、性能の低下が生じる場合には修繕費として処理できる。この点、事例のケースは法令違反による個別的な指導であると考えられ、行政指導による改修工事費用の発生だとしても直ちに修繕費として処理が認められるとは言えないと考えられる。
感想
予想が大きく外れておらず、ホッとしました(笑)
私は税務業務を行っていないのですが、Q2の事例に税理士の立場として遭遇したら、保守的に資本的支出として処理するだろうなと思います。
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