最近のニュース2本~㈱吉野家と相続税~
- 佐藤篤
- 2022年4月22日
- 読了時間: 2分
最近話題になったニュース2本についてです。
㈱吉野家の迅速な取締役解任
先日㈱吉野家の常務取締役であった伊東正明氏が不適切発言をしたことで、そのことが公になってすぐに同社の取締役を解任されました。
このニュースを聞いて「まあ、それはそうかな」と思った一方、「あれ?」とも思いました。
なぜなら取締役は株主総会決議によらなければ解任できないはずなのに、上場会社である㈱吉野家ホールディングスが臨時株主総会を開いて伊東氏の取締役解任を決議することは、どう考えても時間的に不可能だったからです。
これには以下のようなカラクリ?がありました。
そもそも伊東氏は㈱吉野家ホールディングスでは執行役員の地位にはあったものの、取締役の地位にはなく、㈱吉野家ホールディングスの100%子会社である㈱吉野家の取締役だったのです。
それであれば㈱吉野家の100%株主である㈱吉野家ホールディングスが伊東氏を解任すると決定すれば、それで事は決まります。
また、執行役員は会社法上の機関ではないので、取締役会決議で解任でき、何も問題は生じません。
㈱吉野家ホールディングスとしては、伊東氏が同社の取締役でなかったことが幸いした形になりました。
相続財産評価における路線価と時価
4月19日に相続財産の評価についての上告審判決が出て、ニュースでも取り上げられておりました。
以下の動画はその判決前のものですが、説明がわかりやすいので添付します。
上告審の判断については、毎日新聞HP上の記事を以下に引用します。
財産の評価について路線価と時価が乖離(かいり)している場合は国税側が独自に算定できるとした通達の例外規定に基づく課税処分について、判決は「有効」とする初判断を示した。(引用終わり)
この判決「路線価と時価が乖離している場合」というのがポイントですが、明確な数値基準(例えば時価と路線価が50%以上乖離している場合等)までは示されなかったようです。
そうなると課税当局の運用次第ということになる訳で、今後相続税の課税実務がどういった方向に向かっていくのか気になる所です。
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