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病院経営の厳しさ~「会計・監査ジャーナル」2025年11月号~

  • 佐藤篤
  • 2025年11月14日
  • 読了時間: 3分

「会計・監査ジャーナル」2025年11月号の特集は「人口減少社会における非営利組織の役割〜サステナブルな組織を目指して〜開催報告」でした。


その中から「医療法人の直面する課題」(桑原寛)を読んでみました。

 

利益率

  • 医療法人の医業利益率は2010年度、2011年度頃から一貫して低下傾向にある

  • 一方、経常利益率(補助金を含む)では、コロナ禍で医療機関がコロナ患者を受け入れたことにより行政から多額の補助金が出たため、2021年度、2022年度には利益率が大きく上昇したが、補助金がなくなった2023年度には、病院の活動内容に大きな変化がないにもかかわらず、利益率が急落している

  • 民間病院中心の調査で、一般病院では2023年度には赤字病院が51%、黒字病院が48%とほぼ半々だが、公立・公的病院を含めると赤字の割合は6割に達するという報告もある

  • 2023年度の経常利益率の最頻値は0.0%から1.0%あたりで、多くの法人が収支相償で運営されている

 

病床利用率

  • 2014年度から2019年度頃までは約80%で推移していたが、その後低下し、コロナ収束後の2023年度でも80%まで戻る状況にはない

  • 一般病院で病床利用率が75%まで下がると、経営的に非常に厳しく、黒字化は困難となる

 

外来・入院患者数

  • 2000年度から2023年度まで、コロナ収束後の上昇を除けば、一貫して下がり続けている

 

病院の収支構造

  • 人件費、医薬品費、医療材料費、委託費が大幅に増加しており、これは物価高騰や賃上げの影響が大きいと考えられる

  • 収入については、患者数の減少がある一方、入院単価や外来単価が上昇しているため増加しているが、それ以上に費用が増加しているため、経営は厳しい状況にある

 

賃上げ状況

  • 2024年度について、医療従事者の賃上げ率の計画値(2.74%)は、全産業の春闘平均(3.56%)に追いついていない

 

診療所の承継

  • 診療所の医師が80歳で引退し、その後継者もいないと仮定すると、例えば東北地方の診療所医師は、2022年の6,229人から2040年には2,899人へと半分以下に減少する。これは特に地方部で診療所がなくなる懸念があることを示している。

 

医療法人制度

  • 医療法人数は現在5万9,419で、そのうち公益法人並びとなる社会医療法人は373

  • 全医療機関の中で、病院の70%、病床の60%弱、診療所の50%弱、歯科診療所の30%弱を民間医療機関が占めており、その割合が高い実態がある

  • 医療法人には「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」があり、持分ありから持分なしへの移行促進が課題となっている。国として、持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行促進制度の期限(2026年末)をさらに3年延長できるよう準備を進めている。

 

感想

病院経営が厳しいというのはよく耳にしますが、医業利益率が2010年代から低下しているというのは意外でした。

また、地方の診療所の減少問題も今まで知りませんでした。

 

病院にしろ、地方の診療所にしろ、点数制度でどうにかならないものかとも思うのですが、そんな簡単な話ではないのでしょうね。

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