異彩を放っている業績予想修正~株式会社進学会ホールディングス~
- 佐藤篤
- 2022年2月18日
- 読了時間: 2分
決算発表と同時に業績予想修正も一緒にリリースされることがよくあります。
決算短信利用者、特に株式投資を行っている人にとっては、業績予想の修正は決算数値と同等かそれ以上に気になるリリースだと思います。
最近の業績予想修正は、サプライチェーンの混乱による部材調達不調による下方修正や資源価格の上昇による上方修正というのが一般的ですが、2月10日にリリースされた株式会社進学会ホールディングス(以下「進学会社」)の「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(リンク)は、他社とは異彩を放った内容でありました。
具体的には、連結子会社である株式会社SG総研の資金運用事業売上が予想を上回ったことにより増収になる一方、株価が下落したことにより株式上場投信(ETF)の評価損を8,761百万円計上することになり、当初黒字決算予想だったのが大幅な赤字決算になる見通し、というものです。
その原因にも触れられていて、総選挙後に日経平均株価が3万円を超える事を見込んでいたのが逆に1割近く下落したことと日銀とGPIFによる買い支えが期待を下回ったためとのことです。
当該事象の連結損益計算書への影響ですが、前期2021年3月期第3四半期の売上総利益が△288百万円だったのに対し、当期2022年3月期第3四半期の売上総利益は△8,183百万円となっています。この損失をカバーするため、特別利益に大株主による債務免除益3,000百万円が計上されています。
結果として連結貸借対照表の利益剰余金残高は、2021年3月31日末の13,410百万円から2022年12月31日末の7,330百万円へと半分近くまで減少しています。
進学会社は2022年3月期が第47期のようですので、それだけの期間かけて積み上げてきた利益剰余金が当期の9か月間で半分近くまで減ってしまった訳です。
私の知る範囲でも、未だにバブル時代の株式投資の失敗を引きずっている個人・法人があり、投資運用の怖さを改めて思い知らされる事案でありました。
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