株主総会の留意点(その2)~有報の総会前開示、機関投資家の動向、次期会社法改正~「会計・監査ジャーナル」2026年5月号~
- 5月22日
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前回のエントリーでは、「会計・監査ジャーナル」2026年5月号の企業法務「アクティビスト対応、有報総会前開示などの近時の動向を踏まえた2026年6月株主総会の主な留意点」(樋口隆明)から、株主総会資料の電子提供、株主総会運営、アクティビスト対応の部分を取り上げました。
今回は同解説から、有価証券報告書の総会前開示、機関投資家の動向、次期会社法改正の部分を取り上げます。
有価証券報告書の総会前開示
2025年3月決算の会社のうち総会前提出を実施した会社は全体の57.7%、プライム市場では69.6%に達した
しかし、詳細をみると、株主総会1日前の開示が64.4%、2日前が15.7%と、約8割が直前開示に留まった
㈱ジョイフルや窪田製薬ホールディングス㈱、㈱ニイタカなどが、事業年度末から1〜2か月後に基準日を設定し、株主総会日もさらに後ろ倒しすることで十分な開示期間を確保している。また、㈱アドバンテストや㈱ソラコムなど、定款変更により柔軟な基準日設定を可能とする動きも出ている。
2026年2月20日公布・施行の開示府令改正により、総会前開示時の有価証券報告書記載事項が大幅に簡素化された
具体的には、自己株式取得や配当に関する事項など、限られた項目のみ記載すれば足りることとなり、役員の状況等については、株主総会・取締役会後の予定状況の記載が必須ではなくなった
改正開示府令は2026年3月期有価証券報告書から適用されるが、早期適用も可能
役員異動等が株主総会・取締役会で決議される場合は、臨時報告書の提出や半期報告書の役員の状況欄での開示が必要となるが、総会前開示の有価証券報告書で記載した予定通りに選任された場合にはこれらは不要となる
役員の業績連動給与の損金算入に関して、「業績連動給与の算定方法の内容が、報酬委員会の決定等の適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有報に記載する等の方法により開示されていること」が要件とされており、株主総会直後の報酬委員会で決定する予定の内容を総会前提出の有価証券報告書に任意に記載しても、当該要件を満たすことはできないとされている点には留意
機関投資家の動向
近時、機関投資家の議決権行使基準は総じて厳格化の方向にあるが、会社提案に対する反対率・株主提案に対する賛成率自体に急激な変動が生じているわけではなく、寧ろ会社側において基準を踏まえた議案設定が浸透しつつある点が特徴である
機関投資家の議決権行使基準に関する動向として、社外取締役の比率については、「3分の1以上」を上回る基準を設ける機関投資家が現れている
女性取締役比率についても、少なくとも10%を求める基準が広がっている
資本効率の観点からROE8%を1つの目安とする機関投資家が増加し、PBR1倍割れ企業に対する対応を議決権行使基準に組み込む動きも見られる
議決権行使助言会社であるISSやクラス・ルイスは毎年のようにガイドラインを改定している
特にクラス・ルイスか2027年に顧客ごとにカスタマイズされた議決権行使助言に移行することを公表している点に留意
次期会社法改正
(バーチャルオンリー株主総会)
場所の定めのない株主総会を可能とする定款規定、デジタルデバイド対応措置(①機器貸出、②電話使用、③書面投票採用、④全株主の同意のいずれか)、通信障害対策、通信履歴の保存義務、決議取消しの特則(いわゆるセーフハーバー)等が検討されている
(実質株主確認制度)
上場会社が仲介機関を通じて実質株主の情報提供を受ける制度や、一定の大量保有報告書違反者の議決権停止措置も提案されている
感想
有報の総会前開示を嫌がる企業が少なくない中、議決権基準日を事業年度末日から後ろ倒しにする企業は立派だと思います。
今度の6月の株主総会で同様の対応を採る企業がどれくらい現れるかに個人的には注目しています。
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