株主総会の留意点(その1)~株主総会資料の電子提供、株主総会運営、アクティビスト対応~「会計・監査ジャーナル」2026年5月号~
- 5月19日
- 読了時間: 4分
「会計・監査ジャーナル」2026年5月号の企業法務は「アクティビスト対応、有報総会前開示などの近時の動向を踏まえた2026年6月株主総会の主な留意点」(樋口隆明)でした。
その中から今回は、株主総会資料の電子提供、株主総会運営、アクティビスト対応の部分を取り上げます。
株主総会資料の電子提供
書面交付請求を行っていない通常の株主に対して書面で提供する資料として、①フルセットデリバリー、②サマリー版、③アクセス通知のみが主なパターンとなる
2025年シーズンにおいては、プライム市場でのフルセットデリバリーの比率が前年の43.8%か35.0%へと低下した一方、サマリー版が46.4%から50.3%と過半数を超えた
書面交付請求をした株主がいる場合において、その書面交付請求の日から1年を経過したときは、当該株主に対し、①書面の交付を終了する旨を通知し、かつ、②これに異議のある場合には1ヶ月以上の催告期間内に異議を述べるべき旨を催告することが認められている(会社法325条の5第4項)が、2025年の株主総会シーズンにおいて、異議申述手続を実施していない会社が約98%であり、ほぼ全ての会社で実施していない
株主総会運営
出席株主数は、コロナ禍で大きく減少した後、足元では回復傾向が継続しているが、コロナ前の水準までは戻っていない
平均所要時間は概ね60分前後で推移しており、直近も前年と概ね横ばい
質問があった会社における1社あたりの平均発言者数も数名程度で推移しており、大幅な増減は見られない
お土産については出さない会社が大半で、直近調査でも約9割が不提供
バーチャル株主総会(ハイブリッド型・バーチャルオンリー型)の導入率は、過去3年で大きな変動はなく、全体の2割弱にとどまる
特にバーチャルオンリー株主総会に関しては、約1%程度で推移している。この背景には、必要な技術的設備の導入コスト、手間の増加、通信障害等による決議取消リスクなどの懸念が存在することによる。
アクティビスト対応
株主提案を受けた会社数が、2025年6月の株主総会では111社と過去最多を記録した
株主提案の可決事例も7社(提案会社の約6.3%)に及び、特別決議事項である定款変更や株式併合が可決された例も生じている点は注視すべき
株主提案の内容としては、定款変更議案が多く、ガバナンス関連(社外取締役の増員、委員会設置等)、開示強化(資本コストや大株主との関係の開示等)、株主還元策に関する事項が目立つ
アクティビストと認識している株主が「いる」と回答した上場会社は約34%、プライム市場では約47%に及ぶ。時価総額が大きくなるにつれ、「いる」の回答の比率が高くなる。
2025年6月の株主総会では、提案会社111社のうち51社が投資ファンド等による提案と推察されている
アクティビスト自身の持株比率が必ずしも高くなくとも、他の機関投資家の賛同を得て影響力を行使する事例も増加している
株主提案を受けた場合、まず形式的要件(保有要件、行使期限、個別株主通知等)及び実質的要件(決議事項該当性、法令・定款適合性、連続提案制限、議案数上限等)の確認が必要。その上で、適時開示を行うかどうかが検討事項となる。2025年6月の株主総会では、提案を受けた会社の約75%が適時開示を実施した。
開示内容としては、提案株主の概要、議案の内容、取締役会の意見及び理由の説明等
感想
一度だけバーチャルオンリー株主総会に参加したことがあります。
質問は専用サイト上の然るべき箇所に書き込むのですが、衆人環視のもと手を挙げて質問するよりも心理的抵抗感はなく、質問しやすい気がしました。
また、株主提案といえば、昔は電力会社が飛びぬけて多く、他の業種ではほとんどみられないといった印象でしたが、現在は随分変わってきたようです。
しかも、まだまだ少ないとはいえ可決されてもいるようですし、可決されないまでも結構な票を集めると経営者も無視できなくなり、経営方針の見直しに繋がることがあります。
個人的には良い方向への変化のように思います。
コメント