最近の不適切会計事例~総合警備保障㈱~
- 佐藤篤
- 5月16日
- 読了時間: 2分
2025年5月13日に総合警備保障株式会社(以下「ALSOK社」)が「財務報告にかかる開示すべき重要な不備に関するお知らせ」をリリースしておりました。
原因としては過去の退職給付に係る会計処理の誤謬とのことですが、具体的には以下のように記載されています。
当社グループにおける退職給付制度のうち、当社及び連結子会社4社の退職一時金制度に係る退職給付債務について、金額については適切に見積もっていたにも関わらず、その計算結果を誤ってデータ入力したことによるものです。
データ入力上のミスとのことで不正の意図は感じられませんが、ちょっといただけないのは、当該誤謬に伴って決算訂正を要する決算報告書の期間です。
具体的には、
2020年3月期から2024年3月期までの有価証券報告書
2023年3月期第1四半期から2024年3月期第3四半期までの四半期報告書
2025年3月期の半期報告書
の訂正が必要とのことで、およそ5年間発見できなかったことになります。
そのことが却ってALSOK社の今回の不適切会計が不正ではなく誤謬であることの信憑性を高めていますが、逆に何故今回の決算で発見できたのか、そこに興味があります。
尚、2025年3月期第3四半期までの純資産額への影響は△9,271百万円とのことですが、ALSOK社の同四半期末の訂正前純資産額は378,375百万円ですので、軽微といって差し支えなさそうです。
が、やはり当該誤謬を検出できなかった期間の長さからすれば、「開示すべき重要な不備」も止む無しかと感じた事案でありました。
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