改正公益通報者保護法の概要~「会計・監査ジャーナル」2025年8月号~
- 佐藤篤
- 8月19日
- 読了時間: 2分
「会計・監査ジャーナル」2025年8月号「改正公益通報者保護法の概要と実務への影響」(金山貴昭)を読んでみました。
一読した印象では、想像以上に攻めているなあ、という印象を持ちました。
公益通報者保護法の改正法
2025年6月4日に成立、同月11日に交付、2026年内施行予定
令和7年改正法の概要
(公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化)
通報後1年以内の解雇又は懲戒は公益通報を理由としてされたものと推定(改正法3条3項)
公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、及び法人に対し3,000万円以下の罰金(改正法21条1項、23条1項1号)
公益通報を理由とする一般職の国家公務員等に対する不利益な取扱いを禁止し、これに違反して分限免職又は懲戒処分をした者に対し、6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(改正法9条、21条1項、23条2項)
(事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上)
従事者指定義務に違反する事業者(常時使用する労働者の数が300人超に限る。)が勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)を新設(改正法15条の2、21条、23条)
従事者指定義務に違反する事業者(常時使用する労働者の数が300人超に限る。)に対し、現行法の報告徴収権限に加え、立入検査権限を新設し、報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対し30万円以下の罰金(両罰規定あり)(改正法16条、21条、23条)
(公益通報を阻害する要因への対処)
正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることの禁止と、これに違反してされた合意等の法律行為を無効とする規定の新設(改正法11条の2)
正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為をすることを禁止する規定の新設(改正法11条の3)
(公益通報者の範囲拡大)
公益通報者の対象に、特定受託業務事業者いわゆるフリーランス及び業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスを追加し、公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取扱いを禁止する規定を新設(改正法2条1項3号、5条)
感想
解雇・懲戒に係る立証責任の転換や公益通報者の対象にフリーランスを含める等、思っていた以上に踏み込んだ改正のように感じられました。
尚、当該解説記事では実務への影響についても触れられているのですが、それについては次回以降改めて触れたいと思います。
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