改正倫理規則(タックス・プランニング業務)の概要~「会計・監査ジャーナル」2025年9月号~
- 佐藤篤
- 10月10日
- 読了時間: 3分
「会計・監査ジャーナル」2025年9月号に掲載されている「座談会 改正倫理規則について」を読んでみました。
改訂の経緯
2025年7月に開催されたJICPAの定期総会において、倫理規則の改正が承認された
主な改正のテーマはタックス・プランニングであり、これは国際会計士倫理基準審議会(IESBA)から、「タックス・プランニング及び関連業務」に関するIESBA倫理規定の改訂が公表されたことを契機としている
IESBAでタックス・プランニングに関するプロジェクトが始まった背景
過去に多国籍企業の租税回避に関する問題が頻発していたが、これに職業会計士が関わっているのではないかとの見方があったことによる(IESBA倫理規程は、職業会計士がタックス・プランニング業務を職業会計士の資格で行うことを想定している)
タックス・プランニング業務の提供にあたって求められる要求事項のポイント
(ステップ1)法令等に照らして「信頼できる根拠」があるかどうかを検討すること
(ステップ2)利害関係者のタックス・プランニングに対する見方次第で生じる可能性がある風評、ビジネス上の影響、及びより広範な経済的影響を検討すること(スタンドバック・テストという)
上記の2ステップの検討をクリアしなければ、所属する組織や依頼人に対してタックス・プランニングに関する提言又は助言を行うことは認められないことになる
法令等に照らして信頼できる根拠があるかどうか判断する方法
行おうとしているタックス・プランニングが、税法をレビューしたり、当局によって異議を唱えられたりする可能性を検討することによって、会員が職業的専門家として判断することが求められる
場合によっては、法令等が不十分であったり不明確である場合もあるが、そのような場合は、通達、判決等をレビューしたり、関連する文献をレビューしたりすることによって判断を行うことになる
スタンドバック・テストの方法
会員が検討する具体的な事項としては、風評、ビジネス上の影響が挙げられる
つまりは「これをやったら社会がどう思うか」ということをよく考えるということ
税理士制度との関係
日本では、公認会計士はその資格だけで税に関する助言を行うことはできないため、「会員は、これらの業務を依頼人に提供することが法令等により制限される場合には、当然タックス・プランニング業務を提供することはできない」という記載を注意喚起として追記している(第380.3項)
今回の改訂の留意点
脱税指南のような違法行為に関わることは論外であり、今回の改訂の対象には入っていない
単に申告書の作成を請け負う業務など、税法上の義務の履行を支援する業務も対象外とされている
感想
今回の改正は、実質的に会計士税理士はタックス・プランニング業務が出来なくなることを意味するように思われるのですが、考えすぎでしょうか。
公開草案への意見として「他の士業との関係において不公平だ」というものがあったとのことですが、それも当然だと感じました。
コメント